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胃の不調を放置していませんか?ピロリ菌検査・除菌治療

2026/10/08


「胃もたれが続く」
「みぞおちが痛い」
「健診で胃炎を指摘されたけれど、症状がないから放置している」
——このような方は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染が隠れている可能性があります。

ピロリ菌は、胃粘膜に感染して慢性的な炎症を引き起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、さらには胃がんのリスクにも関係する細菌です。
感染していても自覚症状がないケースは珍しくありません。

今回は、消化器内科医の視点から、ピロリ菌の症状や感染リスク、検査方法、除菌治療、除菌後に必要な胃カメラ検査について詳しく解説します。


ピロリ菌とは?胃酸の中でも生きられる細菌

ピロリ菌は、胃粘膜に感染して生息する細菌です。通常、胃の中は強い酸性環境に保たれているため、多くの細菌は生存できません。

しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を作り出します。ウレアーゼによって胃内の尿素からアンモニアを作り、自分の周囲の胃酸を中和することで、胃の中でも生き続けることができます。



ピロリ菌はどのように感染する?

感染経路は完全には解明されていませんが、主に幼少期に唾液を介して感染するケースが多いと考えられています(「井戸水」については過去に全国調査が行われ、「PCR検査で陽性の井戸水はあったが、培養検査では全て陰性だった」という報告がまとめられています。これは「過去にピロリ菌がいたらしい井戸水もあったが、生きて (感染力を持って) いる菌は検出されなかった」ということであり、現在「井戸水を飲んで感染する」とは見なされていません)。

一度感染すると、自然に消失することは少なく、除菌治療を受けない限り、長期間にわたって胃の中に感染が続きます。


ピロリ菌感染を放置するとなぜ危険?

ピロリ菌に感染しても、初期症状として特徴的なものはありません。しかし、胃の粘膜では炎症が少しずつ進行していきます。

長期間の炎症によって胃粘膜が薄くなった状態(萎縮性胃炎)が持続・進行すると、胃がんの発生リスクが高くなることが知られています。

ピロリ菌感染は、次のような病気と関係しています。
  • 慢性胃炎
  • 萎縮性胃炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃MALTリンパ腫
  • 免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)
「症状が軽いから大丈夫」「いつもの胃もたれだろう」「胃のバリウム検査で『慢性胃炎』と言われているけど、去年までと変わりないからOK」と自己判断せず、胃の不調が続く場合は消化器内科へご相談ください。


ピロリ菌感染が疑われる症状・チェックリスト

ピロリ菌に感染していても無症状の場合がありますが、次のような症状がある方は検査を検討しましょう。
  • みぞおちの痛みや不快感がある
  • 胃もたれが続いている
  • 食後にお腹が張る
  • 胸やけや吐き気がある
  • 胃の不調を繰り返している
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
  • 健康診断や人間ドックで慢性胃炎を指摘された
  • 胃粘膜の萎縮を指摘された
  • 家族や血縁者に胃がんになった方がいる
  • 家族がピロリ菌陽性と診断された
  • これまでピロリ菌検査を受けたことがない
特に、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往がある方、胃炎や胃粘膜の萎縮を指摘された方は、症状がなくても医師に相談することをおすすめします。


ピロリ菌検査の種類

ピロリ菌検査には、胃カメラを使用する検査と、胃カメラを使用しない検査があります。患者さんの状態や検査目的に応じて、適切な方法を選択します。


①胃カメラを使用する検査

胃カメラで胃の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取して調べます。
ただし、ピロリ菌は胃の中に「まだらに」感染しているため、採取した場所に感染していないだけ(すぐ脇には感染しているかもしれない)ということが起こり得ます。
そのため、「感染しているかどうかをざっくり調べる」というよりも「感染しているとして詳しい性質を知りたい」場合に向いていると思います。

■迅速ウレアーゼ試験
胃の組織を専用の試薬に入れ、ピロリ菌が作るウレアーゼの反応を利用して感染の有無を調べます。1~2時間程度で結果を確認できますが、上記のように「たまたまピロリ菌がいないところを採取した」場合には感染が見逃されてしまいます(採取する箇所を増やせば検出力は高くなるかもしれませんが、出血など合併症のリスクは確実に高くなると考えられます)。
検査会社と連携できれば②で挙げる抗体検査や便中抗原検査の方がより正確に判定できますし、合併症は通常の血液・尿・便検査と同じくらい低く、結果も1日前後で判明するのでその後の対応・治療においても大きな差は出ないことがほとんどです(「当日には結果が出にくいので聞きそびれる」というリスクはあります)。

■鏡検法
採取した胃粘膜を染色し、顕微鏡でピロリ菌の存在を確認する方法です。
上記の理由から、主に「がんかどうか」を調べる目的での病理検査で併せて評価されるという位置づけのことが多いと思います。

■培養法
採取した組織を専用の環境で培養し、ピロリ菌の有無を確認します。
近年では除菌治療に用いられる抗生物質への耐性化が問題になっており、薬剤感受性を調べる目的で行われます。

■核酸増幅法
PCR法などを用いて、ピロリ菌の遺伝子を増幅させて調べる方法です。
遺伝子のパターンからは「この地域とあの地域とで菌の『株』が同じなのか異なるのか」など疫学的な情報が得られますし、薬剤耐性を持っている菌の場合には原因遺伝子から耐性の仕組みを調べることができます。


②胃カメラを使用しない検査

■抗体検査
血液や尿を採取して、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。
簡便な検査ですが、過去の感染でも陽性になる場合があるため、原則として「除菌治療前の評価」として用いられます。
また、一部の(胃酸を抑える)お薬の影響を受けにくいというメリットがあります。

■尿素呼気試験
検査用の尿素製剤を服用し、一定時間後に吐いた息を調べます。
身体への負担が少なく、精度も高いため、除菌治療後の効果判定や他の検査で微妙な判定が出た場合の確定検査として用いられます。
ただし、一部の(胃酸を抑える)お薬の影響を受けやすいため、該当するお薬を服用中の場合には検査前にしばらく休薬・変更することが勧められます。
また食直後の検査も場合によっては難しくなるため、事前に主治医と相談したうえで検討していってください。

■便中抗原検査
便に含まれるピロリ菌の成分を検出する検査です。
抗体検査と同様に「除菌治療前の評価」方法として利用されます。
抗体検査との大きな違いは検体であり、集団検査などに適しています。


ピロリ菌検査は保険適用になる?


日本の保険診療では、ピロリ菌検査や除菌治療を受ける際、原則として胃カメラで慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを確認する必要があります。

これは「日本で歴史的に多かった胃がんを減らしていくためにピロリ菌を調べるのであって、大事なのはピロリ菌の有無よりも胃がんリスクの評価であり、そのためには胃カメラが必要」というコンセプトに基づいているためです。
ピロリ菌検査や除菌治療が始まった当初は「胃カメラを受けなくても保険でピロリ菌検査や除菌治療を受けられた」のですが、結果として「ピロリ菌を除菌できればもう胃がんにはならない」という誤った認識(除菌後にも胃がんリスクは高めのまま残ります!)が広がったとされており、この出来事に対する反省として制定されたものと言われています。

しかし、現在でも「胃カメラを受けられないまま検査・除菌治療を受けた(結果として残念ながら胃がん発見が遅れたかもしれない…)」というケースは後を絶ちません。
えばらクリニックでは喉への負担が少ない細径内視鏡を採用しており、経鼻内視鏡や鎮静剤を使った検査にも対応していますので、ピロリ菌について気になっている方はぜひ一度ご相談ください。




ただし、保険適用の条件や検査の流れは、診断内容や治療歴によって異なる場合があります。検査を希望される方は、医療機関でご確認ください。


ピロリ菌の除菌治療とは?

ピロリ菌が陽性と診断された場合は、原則として除菌治療を行います。

一般的な一次除菌治療では、次の3種類の薬を使用します。
  • 胃酸の分泌を抑える薬
  • 抗生物質1種類目
  • 抗生物質2種類目
これらの薬を、通常は1日2回、7日間続けて服用します。


除菌治療の成功率

一次除菌で成功する割合は、おおむね80%前後とされています(失敗する割合も少なくないため、後ろの方でも触れますが必ず尿素呼気試験などの確認検査を受けましょう!)。

一次除菌で成功しなかった場合も、使用する抗生物質を変更した二次除菌まで保険診療で受けることができ多くの場合で除菌が可能です。
(ちなみに「二次除菌治療でのみ」用いられる抗生物質はお酒と相性があまりよくなく、治療中に飲酒をすると気分が悪くなるなどの症状が出ることがあります。除菌治療を終えてから美味しくお飲みになることをお勧めします!)
二次除菌まで行っても除菌できなかった場合は、改めて胃がんリスクなどを再評価したうえで方針を考えていく(三次除菌療法という方法もありますが、2026年現在では保険適応がなく自費診療のみ)ことになります。「そもそもピロリ菌による胃炎ではなかった(!!!)」という場合もあり得ますので、消化器内科専門医へご相談されることをお勧めします。


除菌治療で注意すること

治療中は、自己判断で薬を中断しないことが重要です。途中で服薬をやめると、除菌に失敗したり、薬剤耐性が生じたりする可能性があります。
(特に薬剤耐性が生じた場合、問題はご本人だけに留まりません)
また、治療中に次のような副作用が出ることがあります。
  • 軟便・下痢
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 味覚異常
  • 発疹
症状が強い場合や、発疹・息苦しさなどがある場合は、服薬を継続するか自己判断せず、速やかに医療機関へご相談ください。


除菌後は効果判定検査が必要

薬を7日間飲み終えたからといって、除菌が成功したとは限りません。

治療後は一定期間を空けて、尿素呼気試験や便中抗原検査などによる「除菌判定検査」を受けます。「除菌できたかどうかを確認する」のが、ピロリ菌治療において最も重要なポイントです。
多くの場合は尿素呼気試験で判定しますが、胃酸を抑える薬などを服用していたり、食直後だったりすると検査結果に影響することがあります。
除菌判定検査を受けられる場合は、あらかじめ主治医と相談したうえで進めていってください。


ピロリ菌を除菌しても胃がん検診は必要?

ピロリ菌を除菌すると、胃炎の進行を抑え、胃がんの発症リスクを低下させる効果が期待できます。

しかし、除菌に成功したからといって、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。
長期間ピロリ菌に感染していた方や、すでに萎縮性胃炎が進行している方では、除菌後も胃がんが発生する可能性があります(基本的に「ピロリ菌に感染したことがない」方よりも胃がんリスクは高いままです)。

そのため、除菌後も医師の指示に従い、定期的な胃カメラ検査や胃がん検診を受けることが大切です。


ピロリ菌検査を受けるなら消化器内科へ

ピロリ菌は、症状がなくても感染していることがあります。また、胃もたれやみぞおちの痛みの原因が、ピロリ菌だけでなく、胃潰瘍や胃がんなどの病気である可能性もあります。

次のような方は、一度消化器内科へご相談ください。
  • 胃の不調が続いている
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の経験がある
  • 健診で胃炎や胃粘膜の萎縮を指摘された
  • 家族に胃がんの方がいる
  • ピロリ菌検査を受けたことがない
  • 除菌治療後の検査を受けていない
岡山市の消化器内科えばらクリニックでは、症状や既往歴を確認したうえで、胃カメラや抗体検査など、適切な検査方法をご提案します。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

健康診断で「異常」を指摘されたら?治療の必要性と受診について

2026/10/08


健康診断の結果に「再検査」や「精密検査」と書かれていると、誰でも不安になるものですが、このような結果は決して珍しいことではありません。
厚生労働省の報告によると、2人に1人以上の確率で異常が指摘されるのが現状です。

この結果は、あなたの身体が発する大切なサインであり、病気の早期発見につながる貴重なチャンスでもあります。健康診断は「受けた後」の行動が最も重要です。結果を放置せず、「生活習慣を改善する」・「再検査や精密検査を受けにいく」など、自分の健康な将来を決めるのは、健診後の行動にかかっています。






健康診断の結果を正しく理解する

健康診断の目的は、病気の早期発見、早期治療に繋げることだけでなく、将来的にかかる可能性のある病気の予防のためにとても重要なのです。特に糖尿病のように、早い段階での症状がほとんどなく静かに進行していく病気に対して早い段階で対処する(これは後々の悪化や他の病気を予防することにもつながります)ためには、定期的な健康断が欠かせません。

健診結果の判定区分は施設によって異なりますが、ここでは一般的な区分を例に解説します。
特に、「C」や「D」の判定を受けた方は、必ず次のステップへ進みましょう。
判定区分(例) 意味 対応
A(異常なし/1段階) 検査結果が正常範囲内 特に心配する必要はありません
B(軽度異常/2段階) 基準値をわずかに超えているが再検査などの必要はない
C(要再検査・生活改善/要経過観察/3段階) 正常範囲ではないため、定期的な検査で経過観察が必要な状態 緊急性はありませんが、生活習慣を見直して正常範囲内に戻しましょう
D(要精密検査・要治療/要精検/4段階) より詳しい検査が必要、あるいは治療が必要な状態 必ず速やかに受診してください
E(治療中/要治療/5-6段階) 現在治療を受けている項目。引き続き治療を続けてください すでに治療が必要な異常値が見つかった状態なので、専門医を受診してください
多くの方が「C」(要再検査・経過観察)の段階で、そのまま放置してしまう傾向があります。
確かに基準値は目安であり、検査を受けた時間帯や当時の生活習慣によって数値が一定しないこともありますが、来年までそのままにせず(例えば3か月や半年後に)内科を受診して再検査などを受けて、ご自身の平均値を把握することが大切です。


「要再検査」と「要精密検査」の違い

異常があったときに推奨される検査には、「要再検査」と「要精密検査」の2種類があり、これらは意味が異なります。


要再検査

健康診断で行った検査と同じ内容の検査を行い、異常な数値が一時的なものか、長く続くかを判断します。

これにより、健康診断の時にたまたま異常値が出ただけなのか、本当に病気があって異常値が出たのかを確認します。例えば、「外食が続いた時期の後に受けた健診で中性脂肪が高く、それ以降節制しているため中性脂肪が今どうなっているかを確認する」という場合などが考えられます。


要精密検査

健康診断で行った検査よりもさらに踏み込んだ検査を行い、異常値の原因が何らかの病気なのか、また治療が必要な段階なのかを確認します。

身体に病的な異常があると判断し、その原因を特定するために行われます。例えば、「健診の胸部レントゲン検査で異常と考えられる影があったため、同じレントゲン検査ではなく一歩踏み込んだCT検査を行う」ことなどが該当します。精密検査の結果、問題ないという可能性もあります(それならそれでよかったです!)が、病気の特定と今後の対応を判断するためには必ず受診してください。


特に異常を指摘されやすい項目とリスク

健康診断で異常を指摘される項目で最も多いのは「血中脂質(コレステロールや中性脂肪」で、次いで「血圧」、「肝機能(AST、ALT、γ-GTP)」と、生活習慣病に関連する項目が多いことがわかっています。

高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は自覚症状がないまま進行し、放置すると動脈硬化を進行させて狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)といった大きな病気に繋がる危険性が高くなってしまいます。

自覚症状が出てからの受診では実際に心臓や脳の働きに支障をきたしている可能性が高く、他の病気を引き起こすリスクが更に高くなってしまうため、症状が全くなくても(「気のせい」や「年のせい」で流してしまわずに)異常を指摘されたらできるだけ早く受診して治療を始めることが重要です。


血圧異常(高血圧の疑い)

<血圧の基準値>
基準値
収縮期(上の血圧) ~120mmHg台
拡張期(下の血圧) ~70mmHg台
■リスク
血圧(血管へかかる圧力)が高い状態が続くと血管に大きな負担がかかり、動脈硬化を引き起こして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また高血圧そのものが生命予後(長生きできるかどうか)に悪影響をもたらします。

■必要な対応
まず、この機会にご自身の「塩分摂取量」を振り返ってみてください。
一方で健診の際や医療機関での測定では緊張や安静が保てないことで高めに出る場合があるため、ご自宅でリラックスした状態(朝一番や寝る前など条件を揃えて)で測った血圧を記録したもの(アプリや手帳)を持参のうえ受診することをおすすめします。




脂質異常症(高脂血症)

■コレステロール/中性脂肪
LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪が動脈硬化を引き起こします。一方、HDL(いわゆる善玉)コレステロールは動脈硬化を防ぐ役割を持っています。
<脂質(コレステロール)の検査項目と健診における基準値>
基準値
総コレステロール 140-199mg/dL
LDLコレステロール 60-119mg/dL
HDLコレステロール 40mg/dL
中性脂肪(TG) 30-149mg/dL
■リスク
血管の壁にコレステロールや中性脂肪がこびりついて溜まっていくことで炎症を起こし、動脈硬化を引き起こします。高血圧と同様に異常値が続くと狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また、近年では認知症の一因とも言われているため、早い段階(45~65歳!)で治療していくことが推奨されています。

■必要な対応
まずは「油ものを控える」だけではなく、「1日の総カロリー摂取量」を抑えるよう意識していきましょう(次に説明する血糖値などとも関係します)。できるところから運動を取り入れていく(駅で階段を使う、朝にご自宅回りを1周歩くなど)、お煙草をお吸いなら「もし禁煙できたら」を想像するというように、生活習慣について振り返ってみることをお勧めします。




血糖値異常(糖尿病の疑い)

<血糖値・糖代謝の健診における基準値>
基準値
空腹時血糖(BS、BG、Glu) 99mmHg以下
HbA1c 5.5%以下
■リスク
糖尿病は血液中のブドウ糖である血糖が高い状態であり、血管に慢性的な炎症を起こしてやはり動脈硬化につながります。大きな血管だけでなく全身の毛細血管にも重大な障害を起こし、失明や足指の壊死、透析治療が必要になる腎機能障害などの合併症につながる可能性があります。

■必要な対応
放置すると進行して様々な障害につながっていくため、糖尿病の疑いと指摘されたら、血糖が上がった原因(生活習慣だけとは限りません!)を見極めて、早期に適切な治療を始めることが大切です。まず血糖値ありきですが、過去1〜2ヶ月間の血糖値を反映するHbA1cや眼底の状況などと併せて診断します。




肝機能障害(AST, ALT, γ-GTPなど)

<肝機能の検査項目と健診における基準値>
基準値
AST(GOT) 30U/L以下
ALT(GPT) 30U/L以下
γ-GPT 50U/L以下
■リスク
アルコールの摂り過ぎや肥満による脂肪肝が最も多く、その他に肝炎ウイルス性(B型、C型)肝炎や薬剤性肝障害などが考えられます。
肝臓は体内の様々な合成・分解に関わっており、働きが落ちていくと体内のバランスが崩れてしまう他、炎症から繊維化を起こして肝硬変へ進行します。そうなると胃・食道の静脈瘤や肝臓がんといった大きな病気につながってしまいます。

■必要な対応
健康診断では大まかな肝機能障害の有無が分かるまでであり、その程度や原因までは判断できません。場合によっては早急な対処で進行を止める・遅らせることもできるため、まず精密検査を受けに消化器内科を受診してください。


腎機能の異常(低下)

<腎機能の主な検査項目と健診における基準値>
基準値
血性クレアチニン ・男性:1.0mg/dL以下
・女性:0.7mg/dL以下
eGFR 60以上
■リスク
腎機能が低下すると、余分な要素や水分を十分に尿として排出できず、むくみや高血圧を引き起こします。またミネラルバランスの乱れから不整脈や意識障害に繋がったり、ホルモン(腎臓も出してます!)を介して貧血や骨の代謝バランス異常を起こしたりします。
進行して慢性腎不全や尿毒症に至ると、人工透析で代用しないと身体全体の状態を保つことが難しくなってしまいます。

■必要な対応
症状が出てくることには進行している場合が多く、健診などでの早期発見と進行抑制が非常に重要です。糖尿病や高血圧など原因になる要素の管理を徹底し、運動療法や減塩・適切なタンパク質制限などの食事療法に取り組んでいきましょう。お薬で進行を遅らせることもできるようになっており、早めに内科で相談してください。


便潜血陽性・消化器系の異常

■リスク
便潜血陽性とは、便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれている状態を指します。主な原因としては痔などの良性疾患から、大腸ポリープや大腸がんなどの重大な疾患まで幅広く考えられます。わずかずつとはいえ出血が長期間続いて貧血になっていることがあり、特に40歳以上の年齢では胃潰瘍・胃がんや大腸がんなどが隠れている危険が高くなります。

■必要な対応
貧血や便潜血陽性を指摘された場合、胃や大腸からの出血を伴う病気が潜んでいる可能性があるため、胃カメラ・大腸カメラなど内視鏡検査などで原因を突き止めることが非常に重要です。早急に適切な治療が必要なケースがあるため、速やかに消化器内科を受診してください。




心電図の異常

■リスク
脈のリズム異常による不整脈、必要な血流が補われない心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、筋肉の異常による心筋症や心肥大など、心臓に問題がある可能性があります。

■必要な対応
「異常だが大きな問題なし」という状態も多い一方で、早めに循環器内科での精密検査が必要な場合も含まれます。症状がなくても必ず一度は内科を受診して相談して確認するようにしましょう。特に「身体を動かすと胸が苦しい(休むと治る)」「以前より息切れしやすくなった」「動悸が続く」など症状を伴う場合は、程度によっては直接循環器内科へ受診することを考えてください。


メタボリックシンドローム

■リスク
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が過剰に蓄積して高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を複数合併している状態のことを言います。この状態が続くと、それぞれの病気の程度が軽くても動脈硬化が進行しやすく、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)を発症するリスクが大幅に高まります。

■必要な対応
それぞれの数値が積極的な治療が必要なほど悪くないからこそ、早めの対応で(場合によってはお薬を使わずに?)コントロールしていける可能性があります。指摘を受けたらすぐに内科を受診し、節制から始めていきましょう。




二次検査が必要な場合

健康診断で二次検査(再検査・精密検査)が必要とされた場合、最もお勧めするのはすぐにかかりつけ医を受診することです。

かかりつけ医(主治医)は、患者さんにどのような既往歴があり、これまでどのような治療をしてきたか、またどんなお好みや生活習慣をお持ちかを把握しています。そのため、健診で異常が見つかった場合にも、なぜそのような結果になったのか、必要な検査は何かなどをより適切に判断して対応方法を知ることができるのです。

特にかかりつけ医がない場合、岡山市北区のえばらクリニックでは、内科専門医として、個人様の健康診断や企業様の健康診断、区民健診など各種健康診断に特に力を入れており、健診結果の二次検査の相談も可能です。総合内科専門医が在籍しているクリニックですと、検査結果を参考に身体全体を総括して診ていくことができます。

結果を放置せず、「まだ大丈夫」な時期に専門医の意見を一度、しっかり聞いておくことが、将来の健康リスク軽減と生活の質の向上につながります。

健康診断は「受けっぱなし」で終わらせてしまうことだけは避けましょう。自分のため、そして大切なご家族のために、これからの健康な日々のために、まずは健診結果をお持ちになってご相談ください。できる限り分かり易い言葉で病気や治療について丁寧な説明ができるように努めています。




えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医