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「食欲が湧かない」のは夏バテ?消化器の病気が隠れていることも?

2026/09/08


便の形と腸の健康について

「最近、どうも食欲が湧かない」
「暑くなってから、食事をあまり欲しくなくなった」
「食欲がないけれど、夏バテだろうか」

夏になると、このようなご相談が増えてきます。
暑い日が続いて体力を消耗したり、冷たいものを飲み食べすることが増えたり、寝苦しくて睡眠不足になったりすると、一時的に食欲が落ちることがあります。

しかし、「食欲が湧かない」という症状=夏バテと片づけてしまうのは、注意した方がよいかもしれません。
食欲不振の背景には、胃や食道、肝臓、胆のう、膵臓など、消化器に関係する病気が隠れている場合があります。

今回は、「食欲が湧かない」ときに考えられる原因と、消化器内科を受診したほうがよいケースについて解説します。


夏場に食欲が湧かない原因は「夏バテ」だけではありません

食欲がないとき、この時期にまず思い浮かぶのが夏バテではないでしょうか。
夏は気温が高く、体温を調節するために身体への負担が大きくなります。また、冷房による室内外の温度差、睡眠不足、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎなどによって、胃腸の働きが低下し、食欲が落ちてしまうことがあります。

このような場合は、服装の工夫や水分・栄養補給、時には温かいものを摂ることによって、徐々に食欲が戻ってくることが多いでしょう。

一方で、食欲がない状態が長く続いている場合や、ほかの症状を伴っている場合には、単なる夏バテではないのかもしれません。


「食事をあまり欲しくない」から考えられる消化器の病気

「食欲が湧かない」という症状から、次のような消化器の病気が見つかることがあります。


胃炎・胃潰瘍/十二指腸炎・十二指腸潰瘍

ピロリ菌や特定の薬(痛み止めなど)により、胃や十二指腸(胃からつながる小腸の入口)の粘膜に炎症や傷ができる病気です。

胃炎や胃潰瘍、十二指腸炎や十二指腸潰瘍では、食欲不振のほかに、
  • みぞおち辺りの痛みや不快感
  • 胃もたれ
  • 吐き気
  • 胸やけ
  • 食前後の不快感
などがみられることがあります。

特に、胃の辺りの痛みや不快感が続いている場合には、単なる夏バテと考えず、一度消化器内科で相談することをおすすめします。


逆流性食道炎

胃酸が食道へ逆流することで、食道に炎症が起こる病気です。
代表的な症状は胸やけやげっぷ、酸っぱいものが上がってくる感じ(特に食後30~60分の間に横になるなど「頭を低い位置に持っていったとき」に悪化する)ですが、食欲低下や食後の不快感として自覚されることもあります。

「食欲が湧かないけれど、胃の痛みはそれほどない」という場合でも、胸やけやげっぷが増えていないか確認してみましょう。


胃がん

胃がんは、早期には目立った症状がないことも少なくありません。
病気が進行すると、食欲不振、胃もたれ、みぞおち辺りの不快感、体重減少などがみられることがあります。

もちろん、「食欲がない=胃がん」というわけではありません。
しかし、色々やってみても食欲が戻らない、最近食べられていないにしても体重が目立って減ってきている、胃の辺りの症状が続く・悪くなってきているという場合には、胃カメラで早めに胃の状態を確認することが大切です。




肝臓・胆のう・膵臓の病気

食欲不振は、胃だけではなく肝臓や胆のう、膵臓などの病気でも起こることがあります。

特に、食欲がないことに加えて、
  • 強い腹痛がある(特に油ものを食べた後に悪化する)
  • 吐き気や嘔吐が続く
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある
  • 尿の色が濃くなった(水やお茶をしっかり摂っても戻らない)
  • 急に体重が減った
といった症状がある場合には、消化器内科へ早めの受診が必要です。
もし健診や人間ドックを受けられていたら、ぜひ結果が分かる書類などをご持参ください。


食欲がないけれど、どのくらい続いたら受診すべき?

食欲不振が一時的なもので、休息を取ることで改善しているのであれば、必ずしも病気が隠れているとは限りません。
ただし、食欲が湧かない状態が1週間以上続いている、徐々に悪化している、他にも症状が出てきた、体重が減ってきていて戻ってこないという場合には、一度消化器内科を受診しましょう。

「夏だから仕方ない」とあまり長い間我慢してしまうことで、病気の発見が遅れてしまう可能性もあります。


食欲が湧かないときは、まず「ほかの症状」に注目しましょう

食欲不振だけで原因を判断することはできません。
そこで、「食欲がない」という症状に加えて、ほかに気になる変化がないか確認してみましょう。

例えば、
「最近、胃もたれが増えた」
「食後にみぞおちが痛い」
「胸やけがする」
「吐き気がある」
「便通が変わった」
「以前より体重が減った」

このような症状があれば、消化器の病気が関係している可能性があります。
特に症状が長引いている場合には、早めに消化器内科へご相談ください。


食欲不振が続く場合は、岡山市の消化器内科えばらクリニックへ

「食欲が湧かない」という症状は、夏バテや疲労などによって一時的に起こることもあります。
しかし、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などの消化器疾患が原因となっていることもあり、場合によっては胃がんなどの病気が隠れている可能性もあります。

大切なのは、「夏だから」「暑いから」と自己判断して長期間放置しないことです。
食欲不振が続いている場合や、腹痛、胃もたれ、吐き気、胸やけ、体重減少などの症状を伴っている場合には、消化器内科を受診しましょう。

岡山市の消化器内科えばらクリニックでは、食欲不振をはじめ、胃痛、胃もたれ、胸やけ、吐き気などの消化器症状について診療しています。
「食欲が湧かないだけだから」と我慢せず、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

大腸がん検診で便潜血が「陽性」だったら?「もう一度検便」ではダメなの?

2026/09/08


便の形と腸の健康について

「大腸がん検診を受けたら、便潜血反応が陽性だった」

そんな結果を見ると、「もしかして大腸がん?」と不安になってしまいますよね。
一方で、「痔があるからかな?」「硬い便だったから血がついただけでは?」「大腸カメラはしんどいと聞くので、もう一度検便をして陰性なら大丈夫では?」と考える方も少なくありません。

今回は、便潜血検査が「陽性」だった場合に、どう考えればよいのかを解説します。


便潜血検査は、負担と精度のバランスに優れた検査です

便潜血検査
便潜血検査は、便の中に混じったごく微量の血液を調べる検査です。自宅で採便でき、身体への負担もほとんどありません。

それでいて、大腸がんによる死亡を減らす効果が確認されており、「負担が少ないのに、しっかり大腸がんを見つける」非常に優秀なスクリーニング検査です。
日本の「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版」でも、免疫便潜血検査は推奨グレードAとされています。

現在の免疫便潜血検査では、大腸がんを見つける感度(病気を見つける割合)は約84%、特異度(病気でないと判定する割合)は約92%と報告されています。
もちろん、どちらも100%ではありませんが、身体への負担がほとんどないことも含めて考えると、非常にバランスのよい検査といえるでしょう。


便潜血検査の方法「2回法」と「1回法」

日本では、便を2日分採取する「2回法」が広く行われてきました。
大腸がんやポリープからの出血は、いつも起こっているとは限りません。そのため、1日分の便だけでは血液を検出できなくても、別の日には検出できる可能性があります。

2回法では、1回法と比べて大腸がんを見つける感度が高くなる一方、陽性となる人も増えるため、特異度は低下する傾向があります。
つまり、「見逃しを少なくすること」を重視した方法と考えると分かりやすいでしょう。

なお、国立がん研究センターの2024年度版ガイドラインでは、1回法・2回法のいずれも選択肢として認められています。


便潜血「陽性」=大腸がん、ではありません

便潜血検査が陽性だったからといって、大腸がんと決まったわけではありません。
硬い便で肛門や粘膜が傷ついた場合や、痔核から出血した場合など、大腸がん以外の原因でも陽性になることがあります。また、採便時に経血が混入してしまうこともあります。
つまり、「陽性」だとしても、その血液がどこから来たのかまでは分かりません。

こうお伝えすると、「それなら、もう一度検便をして、陰性だったら安心してよいのでは?」と考える方もいらっしゃることでしょう。実際、こうしたご相談は少なくありません。
そうですよね。そのお気持ちは大変ごもっともで、自然な発想だと思います。

ただ、2回目の検便が陰性になったとしても、最初の検査が陽性だった事実がなくなるわけではありません。
大腸がんやポリープからの出血は、毎回の便に必ず混じるわけではないためです。せっかく検診で「病気を見つけるきっかけ」が得られたのに、再検査がたまたま陰性だったことで精密検査を受けず、後になって症状が出てから大腸がんが見つかる――という可能性も否定できません。

そのため、便潜血検査が陽性になった場合には、「なぜ陽性になったのか」を確認するために、大腸カメラによる精密検査を受けることが大切です。国立がん研究センターも、便潜血検査で陽性になった場合には、必ず精密検査を受けることを勧めています。


「大腸カメラはしんどそう……」という方へ

そうはいっても、「大腸カメラは痛そう」「検査が大変そう」と想像されるのは当然だと思います。
当クリニックでは、患者さんの状態やご希望を確認しながら、鎮静剤や鎮痛薬を使用して、できるだけ検査の負担を減らすことができます。

「検査中の不快感をできるだけ感じず、眠っているような状態で受けたい」という方には鎮静剤を、「しんどいところだけ楽になればよく、検査後まで眠気を引きずりたくない」という方から「眠気が検査後に残ってもよいので、しっかり効かせてほしい」という方まで、ご希望を伺いながら鎮静の程度を相談して決めています。
また、「とにかく痛いのがイヤ」という方には、鎮痛薬を使用することもできます。

もちろん、鎮静剤や鎮痛薬がすべての方に適しているわけではありません。持病や当日の体調などによって使用できない場合もありますので、事前にご相談ください。

なお、鎮静剤や鎮痛薬を使用した場合は、検査後の自動車・バイクなどの運転はできません。
そのため、第一にはご家族などによる送迎をお願いしています。ご近所にお住まいなど、状況をご理解いただける方については、徒歩や公共交通機関を利用して帰宅していただくこともできます。




特に「大腸がんのリスクが高い方」は、一度検査を受けてみませんか?

大腸がんは年齢とともに増えていきます。
また、大腸がんになったご家族がいる、大腸ポリープを指摘されたことがある、タバコを吸う、飲酒量が多い、肥満や運動不足があるなど、いくつかのリスク因子が知られています。




特にこうしたリスク因子を複数お持ちの方は、「一度くらい、大腸の中を直接見てもらおう」と考えてみてはいかがでしょうか。
大腸カメラでは、ポリープなどの病変を直接確認でき、必要に応じてその場で治療につなげられることもあります。

「便潜血陽性=大腸がん」ではない、なので必要以上に怖がる必要はありません。
一方で、「痔だろう」「次の検便が陰性だったから大丈夫」と楽観視してしまうのもおすすめできません。

負担が少ない便潜血検査でざっとチェックし、陽性になったときには詳細を確認するために大腸カメラを、という「二段構え」が消化器内科専門医としての現時点でのオススメです。

「一度くらい、自分の大腸をきちんと調べておこうかな」
そのくらいの気持ちで構いません。

特に大腸がんのリスクが高いと思われる方、そして今回便潜血が陽性だった方は、ぜひ一度、大腸カメラ検査についてご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医