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寒い季節の隠れた危険!「ヒートショック」を予防し、安心な冬を過ごしましょう

2026/01/14

ヒートショック

皆さんこんにちは。えばらクリニックの院長です。
冬の寒さが本格化し、暖かい部屋から冷えきった廊下や脱衣所へ移動する際、「うわっ、寒い」と思わず身が縮むことはありませんか。実は、この“急な温度差”こそが、冬場に多発する健康トラブル「ヒートショック」を引き起こす大きな要因です。

ヒートショックとは、単なる冷えではなく、暖かい空間から寒い場所へ移動した際などに血圧が急激に上昇・下降することで体に強い負担がかかる現象を指します。
失神、心筋梗塞、脳梗塞など、命に関わる事態を招く危険性がある点が問題で、特に冬季は入浴中の高齢者の事故が多いことが各種データでも示されています。

ヒートショックが起こりやすい理由と発生しやすい場所

ヒートショックが起こりやすい理由と発生しやすい場所 ヒートショックは、温度差により血圧が乱高下することで発生します。
特に冬場の入浴シーンで起こりやすいといわれています。

■血圧に大きな負担がかかる流れ
①寒い脱衣所で衣服を脱ぐ
暖房の効いた部屋から寒い脱衣所へ移ると、熱を逃がさないよう血管が収縮し、血圧が急上昇します。
②熱めのお湯につかる
その後浴槽に入ると、今度は血管が一気に拡張し、上がっていた血圧が急下降します。

このジェットコースターのような血圧変化により、脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみや意識消失につながることがあります。浴室内で意識を失うと溺水事故の危険性が高く、非常に危険です。

ヒートショックが起こりやすい状況

入浴以外にも、10℃以上の温度差がある場所の移動はリスクを高めます。

脱衣所・浴室

ヒートショックが起こりやすい状況(脱衣所・浴室) 冬の浴室は暖房がないことも多く、室温が10℃以下になることもあります。もっともヒートショックが起こりやすい場所です。

部屋間の移動

ヒートショックが起こりやすい状況(部屋間の移動) 暖かいリビングから、暖房のない廊下・トイレに行くだけでも血圧の急変が生じます。

サウナと水風呂の往復

ヒートショックが起こりやすい状況(サウナと水風呂の往復) 温冷交代浴は健康に良い面も知られていますが、温度差が大きく血圧の変動が激しいため、ヒートショックのリスクは高くなります。

ヒートショックを起こしやすい人の特徴

ヒートショックを起こしやすい人の特徴は以下のとおりです。

高齢者

65歳以上では動脈硬化が進みやすく、血管が硬くなっているため、血圧変動の影響を受けやすくなります。温度差を感じにくかったり体温調節能力が低下していたりする点もリスクを高める要因です。

生活習慣病のある方

高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などの持病がある方は血管の柔軟性が低下しやすく、血圧が急激に変動する傾向があります。
心臓病をお持ちの方も血圧変動が大きな負担となり、心筋梗塞・脳卒中のリスクが高まります。

その他の要因

  • 肥満、不整脈、睡眠時無呼吸症候群
  • 熱いお風呂(42℃以上)や“一番風呂”が好き
  • 飲酒後・食後の入浴
  • 水分摂取量が少ない(脱水は血栓や脳梗塞の危険因子)

ヒートショックを防ぐための予防策

ヒートショックは、多くの場合ちょっとした工夫をすれば防ぐことができます。
ポイントは温度差をつくらないことと、体に負担の少ない入浴法を守ることです。

(1)温度差を小さくする工夫

ヒートショックを防ぐための予防策(温度差を小さくする工夫)
  • 脱衣所・浴室を暖めておく:暖房器具を使用し、リビングとの温度差を減らしましょう
  • シャワー給湯で浴室全体を温める:浴槽にお湯を張るときに高い位置からシャワーで給湯すると、15分ほどで浴室の温度が約10℃上がる例もあります
  • 浴槽の蓋を外す:お湯の蒸気で室温が上がり、体への負担を軽減できます
  • 足元の冷え対策:床にマットやスノコを敷くことで冷えを和らげられます

(2)身体に負担の少ない入浴法

ヒートショックを防ぐための予防策(身体に負担の少ない入浴法)
  • 湯温は41℃以下、入浴は10分以内:42℃以上は心臓への負担が大きく、意識障害のリスクが上がります
  • かけ湯で体をならす:急に浸からず、手足から徐々に温めましょう
  • ゆっくり立ち上がる:血圧の急降下を避けるため、手すりを使いゆっくり動くことが大切です
  • 入浴の時間帯にも配慮を:日中〜夕方など気温が高めの時間帯がおすすめです

(3)入浴を控えるべきタイミング

ヒートショックを防ぐための予防策(入浴を控えるべきタイミング)
  • 食後30分以内、飲酒後
  • 体調不良時、血圧や糖尿病の治療薬、眠くなる薬の服用直後
  • 一番風呂(特に浴室が冷えている場合)

万が一ヒートショックが起きたときの対応


めまい・立ちくらみを感じたら

  • 急に立ち上がらない
  • 可能なら浴槽の栓を抜く
  • その場にしゃがむ、横になるなどして落ち着くまで待つ

ご家族のサポート

「これからお風呂に入るの?」などと声をかけるようにしましょう。
普段より入浴が長い、物音がしないなどの変化を感じた際には、ためらわず確認してください。

冬を安全に過ごすために

ヒートショックは日々のちょっとした工夫で多くは回避できます。入浴前の室温チェックやゆっくりした動作など、小さな習慣が安心につながります。
冬を健やかに過ごすために、今日からできる対策をぜひ取り入れてみてください。健康に関して気になる点があれば、いつでも当クリニックへご相談ください。


えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医