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胃の不調を放置していませんか?ピロリ菌検査・除菌治療

2026/10/08


「胃もたれが続く」
「みぞおちが痛い」
「健診で胃炎を指摘されたけれど、症状がないから放置している」
——このような方は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染が隠れている可能性があります。

ピロリ菌は、胃粘膜に感染して慢性的な炎症を引き起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、さらには胃がんのリスクにも関係する細菌です。
感染していても自覚症状がないケースは珍しくありません。

今回は、消化器内科医の視点から、ピロリ菌の症状や感染リスク、検査方法、除菌治療、除菌後に必要な胃カメラ検査について詳しく解説します。


ピロリ菌とは?胃酸の中でも生きられる細菌

ピロリ菌は、胃粘膜に感染して生息する細菌です。通常、胃の中は強い酸性環境に保たれているため、多くの細菌は生存できません。

しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を作り出します。ウレアーゼによって胃内の尿素からアンモニアを作り、自分の周囲の胃酸を中和することで、胃の中でも生き続けることができます。



ピロリ菌はどのように感染する?

感染経路は完全には解明されていませんが、主に幼少期に唾液を介して感染するケースが多いと考えられています(「井戸水」については過去に全国調査が行われ、「PCR検査で陽性の井戸水はあったが、培養検査では全て陰性だった」という報告がまとめられています。これは「過去にピロリ菌がいたらしい井戸水もあったが、生きて (感染力を持って) いる菌は検出されなかった」ということであり、現在「井戸水を飲んで感染する」とは見なされていません)。

一度感染すると、自然に消失することは少なく、除菌治療を受けない限り、長期間にわたって胃の中に感染が続きます。


ピロリ菌感染を放置するとなぜ危険?

ピロリ菌に感染しても、初期症状として特徴的なものはありません。しかし、胃の粘膜では炎症が少しずつ進行していきます。

長期間の炎症によって胃粘膜が薄くなった状態(萎縮性胃炎)が持続・進行すると、胃がんの発生リスクが高くなることが知られています。

ピロリ菌感染は、次のような病気と関係しています。
  • 慢性胃炎
  • 萎縮性胃炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃がん
  • 胃MALTリンパ腫
  • 免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)
「症状が軽いから大丈夫」「いつもの胃もたれだろう」「胃のバリウム検査で『慢性胃炎』と言われているけど、去年までと変わりないからOK」と自己判断せず、胃の不調が続く場合は消化器内科へご相談ください。


ピロリ菌感染が疑われる症状・チェックリスト

ピロリ菌に感染していても無症状の場合がありますが、次のような症状がある方は検査を検討しましょう。
  • みぞおちの痛みや不快感がある
  • 胃もたれが続いている
  • 食後にお腹が張る
  • 胸やけや吐き気がある
  • 胃の不調を繰り返している
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
  • 健康診断や人間ドックで慢性胃炎を指摘された
  • 胃粘膜の萎縮を指摘された
  • 家族や血縁者に胃がんになった方がいる
  • 家族がピロリ菌陽性と診断された
  • これまでピロリ菌検査を受けたことがない
特に、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往がある方、胃炎や胃粘膜の萎縮を指摘された方は、症状がなくても医師に相談することをおすすめします。


ピロリ菌検査の種類

ピロリ菌検査には、胃カメラを使用する検査と、胃カメラを使用しない検査があります。患者さんの状態や検査目的に応じて、適切な方法を選択します。


①胃カメラを使用する検査

胃カメラで胃の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取して調べます。
ただし、ピロリ菌は胃の中に「まだらに」感染しているため、採取した場所に感染していないだけ(すぐ脇には感染しているかもしれない)ということが起こり得ます。
そのため、「感染しているかどうかをざっくり調べる」というよりも「感染しているとして詳しい性質を知りたい」場合に向いていると思います。

■迅速ウレアーゼ試験
胃の組織を専用の試薬に入れ、ピロリ菌が作るウレアーゼの反応を利用して感染の有無を調べます。1~2時間程度で結果を確認できますが、上記のように「たまたまピロリ菌がいないところを採取した」場合には感染が見逃されてしまいます(採取する箇所を増やせば検出力は高くなるかもしれませんが、出血など合併症のリスクは確実に高くなると考えられます)。
検査会社と連携できれば②で挙げる抗体検査や便中抗原検査の方がより正確に判定できますし、合併症は通常の血液・尿・便検査と同じくらい低く、結果も1日前後で判明するのでその後の対応・治療においても大きな差は出ないことがほとんどです(「当日には結果が出にくいので聞きそびれる」というリスクはあります)。

■鏡検法
採取した胃粘膜を染色し、顕微鏡でピロリ菌の存在を確認する方法です。
上記の理由から、主に「がんかどうか」を調べる目的での病理検査で併せて評価されるという位置づけのことが多いと思います。

■培養法
採取した組織を専用の環境で培養し、ピロリ菌の有無を確認します。
近年では除菌治療に用いられる抗生物質への耐性化が問題になっており、薬剤感受性を調べる目的で行われます。

■核酸増幅法
PCR法などを用いて、ピロリ菌の遺伝子を増幅させて調べる方法です。
遺伝子のパターンからは「この地域とあの地域とで菌の『株』が同じなのか異なるのか」など疫学的な情報が得られますし、薬剤耐性を持っている菌の場合には原因遺伝子から耐性の仕組みを調べることができます。


②胃カメラを使用しない検査

■抗体検査
血液や尿を採取して、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。
簡便な検査ですが、過去の感染でも陽性になる場合があるため、原則として「除菌治療前の評価」として用いられます。
また、一部の(胃酸を抑える)お薬の影響を受けにくいというメリットがあります。

■尿素呼気試験
検査用の尿素製剤を服用し、一定時間後に吐いた息を調べます。
身体への負担が少なく、精度も高いため、除菌治療後の効果判定や他の検査で微妙な判定が出た場合の確定検査として用いられます。
ただし、一部の(胃酸を抑える)お薬の影響を受けやすいため、該当するお薬を服用中の場合には検査前にしばらく休薬・変更することが勧められます。
また食直後の検査も場合によっては難しくなるため、事前に主治医と相談したうえで検討していってください。

■便中抗原検査
便に含まれるピロリ菌の成分を検出する検査です。
抗体検査と同様に「除菌治療前の評価」方法として利用されます。
抗体検査との大きな違いは検体であり、集団検査などに適しています。


ピロリ菌検査は保険適用になる?


日本の保険診療では、ピロリ菌検査や除菌治療を受ける際、原則として胃カメラで慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを確認する必要があります。

これは「日本で歴史的に多かった胃がんを減らしていくためにピロリ菌を調べるのであって、大事なのはピロリ菌の有無よりも胃がんリスクの評価であり、そのためには胃カメラが必要」というコンセプトに基づいているためです。
ピロリ菌検査や除菌治療が始まった当初は「胃カメラを受けなくても保険でピロリ菌検査や除菌治療を受けられた」のですが、結果として「ピロリ菌を除菌できればもう胃がんにはならない」という誤った認識(除菌後にも胃がんリスクは高めのまま残ります!)が広がったとされており、この出来事に対する反省として制定されたものと言われています。

しかし、現在でも「胃カメラを受けられないまま検査・除菌治療を受けた(結果として残念ながら胃がん発見が遅れたかもしれない…)」というケースは後を絶ちません。
えばらクリニックでは喉への負担が少ない細径内視鏡を採用しており、経鼻内視鏡や鎮静剤を使った検査にも対応していますので、ピロリ菌について気になっている方はぜひ一度ご相談ください。




ただし、保険適用の条件や検査の流れは、診断内容や治療歴によって異なる場合があります。検査を希望される方は、医療機関でご確認ください。


ピロリ菌の除菌治療とは?

ピロリ菌が陽性と診断された場合は、原則として除菌治療を行います。

一般的な一次除菌治療では、次の3種類の薬を使用します。
  • 胃酸の分泌を抑える薬
  • 抗生物質1種類目
  • 抗生物質2種類目
これらの薬を、通常は1日2回、7日間続けて服用します。


除菌治療の成功率

一次除菌で成功する割合は、おおむね80%前後とされています(失敗する割合も少なくないため、後ろの方でも触れますが必ず尿素呼気試験などの確認検査を受けましょう!)。

一次除菌で成功しなかった場合も、使用する抗生物質を変更した二次除菌まで保険診療で受けることができ多くの場合で除菌が可能です。
(ちなみに「二次除菌治療でのみ」用いられる抗生物質はお酒と相性があまりよくなく、治療中に飲酒をすると気分が悪くなるなどの症状が出ることがあります。除菌治療を終えてから美味しくお飲みになることをお勧めします!)
二次除菌まで行っても除菌できなかった場合は、改めて胃がんリスクなどを再評価したうえで方針を考えていく(三次除菌療法という方法もありますが、2026年現在では保険適応がなく自費診療のみ)ことになります。「そもそもピロリ菌による胃炎ではなかった(!!!)」という場合もあり得ますので、消化器内科専門医へご相談されることをお勧めします。


除菌治療で注意すること

治療中は、自己判断で薬を中断しないことが重要です。途中で服薬をやめると、除菌に失敗したり、薬剤耐性が生じたりする可能性があります。
(特に薬剤耐性が生じた場合、問題はご本人だけに留まりません)
また、治療中に次のような副作用が出ることがあります。
  • 軟便・下痢
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 味覚異常
  • 発疹
症状が強い場合や、発疹・息苦しさなどがある場合は、服薬を継続するか自己判断せず、速やかに医療機関へご相談ください。


除菌後は効果判定検査が必要

薬を7日間飲み終えたからといって、除菌が成功したとは限りません。

治療後は一定期間を空けて、尿素呼気試験や便中抗原検査などによる「除菌判定検査」を受けます。「除菌できたかどうかを確認する」のが、ピロリ菌治療において最も重要なポイントです。
多くの場合は尿素呼気試験で判定しますが、胃酸を抑える薬などを服用していたり、食直後だったりすると検査結果に影響することがあります。
除菌判定検査を受けられる場合は、あらかじめ主治医と相談したうえで進めていってください。


ピロリ菌を除菌しても胃がん検診は必要?

ピロリ菌を除菌すると、胃炎の進行を抑え、胃がんの発症リスクを低下させる効果が期待できます。

しかし、除菌に成功したからといって、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。
長期間ピロリ菌に感染していた方や、すでに萎縮性胃炎が進行している方では、除菌後も胃がんが発生する可能性があります(基本的に「ピロリ菌に感染したことがない」方よりも胃がんリスクは高いままです)。

そのため、除菌後も医師の指示に従い、定期的な胃カメラ検査や胃がん検診を受けることが大切です。


ピロリ菌検査を受けるなら消化器内科へ

ピロリ菌は、症状がなくても感染していることがあります。また、胃もたれやみぞおちの痛みの原因が、ピロリ菌だけでなく、胃潰瘍や胃がんなどの病気である可能性もあります。

次のような方は、一度消化器内科へご相談ください。
  • 胃の不調が続いている
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の経験がある
  • 健診で胃炎や胃粘膜の萎縮を指摘された
  • 家族に胃がんの方がいる
  • ピロリ菌検査を受けたことがない
  • 除菌治療後の検査を受けていない
岡山市の消化器内科えばらクリニックでは、症状や既往歴を確認したうえで、胃カメラや抗体検査など、適切な検査方法をご提案します。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

健康診断で「異常」を指摘されたら?治療の必要性と受診について

2026/10/08


健康診断の結果に「再検査」や「精密検査」と書かれていると、誰でも不安になるものですが、このような結果は決して珍しいことではありません。
厚生労働省の報告によると、2人に1人以上の確率で異常が指摘されるのが現状です。

この結果は、あなたの身体が発する大切なサインであり、病気の早期発見につながる貴重なチャンスでもあります。健康診断は「受けた後」の行動が最も重要です。結果を放置せず、「生活習慣を改善する」・「再検査や精密検査を受けにいく」など、自分の健康な将来を決めるのは、健診後の行動にかかっています。






健康診断の結果を正しく理解する

健康診断の目的は、病気の早期発見、早期治療に繋げることだけでなく、将来的にかかる可能性のある病気の予防のためにとても重要なのです。特に糖尿病のように、早い段階での症状がほとんどなく静かに進行していく病気に対して早い段階で対処する(これは後々の悪化や他の病気を予防することにもつながります)ためには、定期的な健康断が欠かせません。

健診結果の判定区分は施設によって異なりますが、ここでは一般的な区分を例に解説します。
特に、「C」や「D」の判定を受けた方は、必ず次のステップへ進みましょう。
判定区分(例) 意味 対応
A(異常なし/1段階) 検査結果が正常範囲内 特に心配する必要はありません
B(軽度異常/2段階) 基準値をわずかに超えているが再検査などの必要はない
C(要再検査・生活改善/要経過観察/3段階) 正常範囲ではないため、定期的な検査で経過観察が必要な状態 緊急性はありませんが、生活習慣を見直して正常範囲内に戻しましょう
D(要精密検査・要治療/要精検/4段階) より詳しい検査が必要、あるいは治療が必要な状態 必ず速やかに受診してください
E(治療中/要治療/5-6段階) 現在治療を受けている項目。引き続き治療を続けてください すでに治療が必要な異常値が見つかった状態なので、専門医を受診してください
多くの方が「C」(要再検査・経過観察)の段階で、そのまま放置してしまう傾向があります。
確かに基準値は目安であり、検査を受けた時間帯や当時の生活習慣によって数値が一定しないこともありますが、来年までそのままにせず(例えば3か月や半年後に)内科を受診して再検査などを受けて、ご自身の平均値を把握することが大切です。


「要再検査」と「要精密検査」の違い

異常があったときに推奨される検査には、「要再検査」と「要精密検査」の2種類があり、これらは意味が異なります。


要再検査

健康診断で行った検査と同じ内容の検査を行い、異常な数値が一時的なものか、長く続くかを判断します。

これにより、健康診断の時にたまたま異常値が出ただけなのか、本当に病気があって異常値が出たのかを確認します。例えば、「外食が続いた時期の後に受けた健診で中性脂肪が高く、それ以降節制しているため中性脂肪が今どうなっているかを確認する」という場合などが考えられます。


要精密検査

健康診断で行った検査よりもさらに踏み込んだ検査を行い、異常値の原因が何らかの病気なのか、また治療が必要な段階なのかを確認します。

身体に病的な異常があると判断し、その原因を特定するために行われます。例えば、「健診の胸部レントゲン検査で異常と考えられる影があったため、同じレントゲン検査ではなく一歩踏み込んだCT検査を行う」ことなどが該当します。精密検査の結果、問題ないという可能性もあります(それならそれでよかったです!)が、病気の特定と今後の対応を判断するためには必ず受診してください。


特に異常を指摘されやすい項目とリスク

健康診断で異常を指摘される項目で最も多いのは「血中脂質(コレステロールや中性脂肪」で、次いで「血圧」、「肝機能(AST、ALT、γ-GTP)」と、生活習慣病に関連する項目が多いことがわかっています。

高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は自覚症状がないまま進行し、放置すると動脈硬化を進行させて狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)といった大きな病気に繋がる危険性が高くなってしまいます。

自覚症状が出てからの受診では実際に心臓や脳の働きに支障をきたしている可能性が高く、他の病気を引き起こすリスクが更に高くなってしまうため、症状が全くなくても(「気のせい」や「年のせい」で流してしまわずに)異常を指摘されたらできるだけ早く受診して治療を始めることが重要です。


血圧異常(高血圧の疑い)

<血圧の基準値>
基準値
収縮期(上の血圧) ~120mmHg台
拡張期(下の血圧) ~70mmHg台
■リスク
血圧(血管へかかる圧力)が高い状態が続くと血管に大きな負担がかかり、動脈硬化を引き起こして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また高血圧そのものが生命予後(長生きできるかどうか)に悪影響をもたらします。

■必要な対応
まず、この機会にご自身の「塩分摂取量」を振り返ってみてください。
一方で健診の際や医療機関での測定では緊張や安静が保てないことで高めに出る場合があるため、ご自宅でリラックスした状態(朝一番や寝る前など条件を揃えて)で測った血圧を記録したもの(アプリや手帳)を持参のうえ受診することをおすすめします。




脂質異常症(高脂血症)

■コレステロール/中性脂肪
LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪が動脈硬化を引き起こします。一方、HDL(いわゆる善玉)コレステロールは動脈硬化を防ぐ役割を持っています。
<脂質(コレステロール)の検査項目と健診における基準値>
基準値
総コレステロール 140-199mg/dL
LDLコレステロール 60-119mg/dL
HDLコレステロール 40mg/dL
中性脂肪(TG) 30-149mg/dL
■リスク
血管の壁にコレステロールや中性脂肪がこびりついて溜まっていくことで炎症を起こし、動脈硬化を引き起こします。高血圧と同様に異常値が続くと狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また、近年では認知症の一因とも言われているため、早い段階(45~65歳!)で治療していくことが推奨されています。

■必要な対応
まずは「油ものを控える」だけではなく、「1日の総カロリー摂取量」を抑えるよう意識していきましょう(次に説明する血糖値などとも関係します)。できるところから運動を取り入れていく(駅で階段を使う、朝にご自宅回りを1周歩くなど)、お煙草をお吸いなら「もし禁煙できたら」を想像するというように、生活習慣について振り返ってみることをお勧めします。




血糖値異常(糖尿病の疑い)

<血糖値・糖代謝の健診における基準値>
基準値
空腹時血糖(BS、BG、Glu) 99mmHg以下
HbA1c 5.5%以下
■リスク
糖尿病は血液中のブドウ糖である血糖が高い状態であり、血管に慢性的な炎症を起こしてやはり動脈硬化につながります。大きな血管だけでなく全身の毛細血管にも重大な障害を起こし、失明や足指の壊死、透析治療が必要になる腎機能障害などの合併症につながる可能性があります。

■必要な対応
放置すると進行して様々な障害につながっていくため、糖尿病の疑いと指摘されたら、血糖が上がった原因(生活習慣だけとは限りません!)を見極めて、早期に適切な治療を始めることが大切です。まず血糖値ありきですが、過去1〜2ヶ月間の血糖値を反映するHbA1cや眼底の状況などと併せて診断します。




肝機能障害(AST, ALT, γ-GTPなど)

<肝機能の検査項目と健診における基準値>
基準値
AST(GOT) 30U/L以下
ALT(GPT) 30U/L以下
γ-GPT 50U/L以下
■リスク
アルコールの摂り過ぎや肥満による脂肪肝が最も多く、その他に肝炎ウイルス性(B型、C型)肝炎や薬剤性肝障害などが考えられます。
肝臓は体内の様々な合成・分解に関わっており、働きが落ちていくと体内のバランスが崩れてしまう他、炎症から繊維化を起こして肝硬変へ進行します。そうなると胃・食道の静脈瘤や肝臓がんといった大きな病気につながってしまいます。

■必要な対応
健康診断では大まかな肝機能障害の有無が分かるまでであり、その程度や原因までは判断できません。場合によっては早急な対処で進行を止める・遅らせることもできるため、まず精密検査を受けに消化器内科を受診してください。


腎機能の異常(低下)

<腎機能の主な検査項目と健診における基準値>
基準値
血性クレアチニン ・男性:1.0mg/dL以下
・女性:0.7mg/dL以下
eGFR 60以上
■リスク
腎機能が低下すると、余分な要素や水分を十分に尿として排出できず、むくみや高血圧を引き起こします。またミネラルバランスの乱れから不整脈や意識障害に繋がったり、ホルモン(腎臓も出してます!)を介して貧血や骨の代謝バランス異常を起こしたりします。
進行して慢性腎不全や尿毒症に至ると、人工透析で代用しないと身体全体の状態を保つことが難しくなってしまいます。

■必要な対応
症状が出てくることには進行している場合が多く、健診などでの早期発見と進行抑制が非常に重要です。糖尿病や高血圧など原因になる要素の管理を徹底し、運動療法や減塩・適切なタンパク質制限などの食事療法に取り組んでいきましょう。お薬で進行を遅らせることもできるようになっており、早めに内科で相談してください。


便潜血陽性・消化器系の異常

■リスク
便潜血陽性とは、便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれている状態を指します。主な原因としては痔などの良性疾患から、大腸ポリープや大腸がんなどの重大な疾患まで幅広く考えられます。わずかずつとはいえ出血が長期間続いて貧血になっていることがあり、特に40歳以上の年齢では胃潰瘍・胃がんや大腸がんなどが隠れている危険が高くなります。

■必要な対応
貧血や便潜血陽性を指摘された場合、胃や大腸からの出血を伴う病気が潜んでいる可能性があるため、胃カメラ・大腸カメラなど内視鏡検査などで原因を突き止めることが非常に重要です。早急に適切な治療が必要なケースがあるため、速やかに消化器内科を受診してください。




心電図の異常

■リスク
脈のリズム異常による不整脈、必要な血流が補われない心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、筋肉の異常による心筋症や心肥大など、心臓に問題がある可能性があります。

■必要な対応
「異常だが大きな問題なし」という状態も多い一方で、早めに循環器内科での精密検査が必要な場合も含まれます。症状がなくても必ず一度は内科を受診して相談して確認するようにしましょう。特に「身体を動かすと胸が苦しい(休むと治る)」「以前より息切れしやすくなった」「動悸が続く」など症状を伴う場合は、程度によっては直接循環器内科へ受診することを考えてください。


メタボリックシンドローム

■リスク
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が過剰に蓄積して高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を複数合併している状態のことを言います。この状態が続くと、それぞれの病気の程度が軽くても動脈硬化が進行しやすく、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)を発症するリスクが大幅に高まります。

■必要な対応
それぞれの数値が積極的な治療が必要なほど悪くないからこそ、早めの対応で(場合によってはお薬を使わずに?)コントロールしていける可能性があります。指摘を受けたらすぐに内科を受診し、節制から始めていきましょう。




二次検査が必要な場合

健康診断で二次検査(再検査・精密検査)が必要とされた場合、最もお勧めするのはすぐにかかりつけ医を受診することです。

かかりつけ医(主治医)は、患者さんにどのような既往歴があり、これまでどのような治療をしてきたか、またどんなお好みや生活習慣をお持ちかを把握しています。そのため、健診で異常が見つかった場合にも、なぜそのような結果になったのか、必要な検査は何かなどをより適切に判断して対応方法を知ることができるのです。

特にかかりつけ医がない場合、岡山市北区のえばらクリニックでは、内科専門医として、個人様の健康診断や企業様の健康診断、区民健診など各種健康診断に特に力を入れており、健診結果の二次検査の相談も可能です。総合内科専門医が在籍しているクリニックですと、検査結果を参考に身体全体を総括して診ていくことができます。

結果を放置せず、「まだ大丈夫」な時期に専門医の意見を一度、しっかり聞いておくことが、将来の健康リスク軽減と生活の質の向上につながります。

健康診断は「受けっぱなし」で終わらせてしまうことだけは避けましょう。自分のため、そして大切なご家族のために、これからの健康な日々のために、まずは健診結果をお持ちになってご相談ください。できる限り分かり易い言葉で病気や治療について丁寧な説明ができるように努めています。




えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

消化器内科では何をする?診療内容・検査について解説

2026/09/28


「胃が痛いときは消化器内科?」「消化器内科ではどのような病気を診てもらえるの?」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。

消化器内科は、食道・胃・腸だけでなく、肝臓、胆のう、胆管、すい臓など、消化に関わる臓器を幅広く診療する診療科です。

胃痛や腹痛、胸やけ、便通の異常などの症状がある場合はもちろん、健康診断で便潜血、肝機能、胃の検査などに異常を指摘された場合にも、受診先の一つとなります。

今回は、消化器内科で診療する病気や、一般内科・消化器外科との違い、岡山市北区の消化器内科えばらクリニックで対応している検査についてご紹介します。


消化器内科では何を診る?

消化器内科で主に診療するのは、次のような臓器です。
  • 食道
  • 胃
  • 十二指腸
  • 小腸
  • 大腸
  • 肝臓
  • 胆のう
  • 胆管
  • すい臓
代表的な病気には、以下のようなものがあります。
対象となる部位 主な病気
食道・胃・十二指腸 逆流性食道炎、胃炎、胃ポリープ、胃・十二指腸潰瘍、胃がん
大腸 大腸ポリープ、炎症性腸疾患、大腸がん
肝臓 脂肪肝、ウイルス性肝炎、肝硬変
胆のう・胆管 胆石症、胆のう炎
すい臓 すい炎、すい臓の腫瘍
「胃が痛い」「お腹が痛い」といった症状だけが消化器内科の受診理由ではありません。
胸やけ、吐き気、食欲不振、便秘や下痢、血便などの症状も、消化器内科でご相談いただけます。

また、自覚症状がなくても、健康診断や人間ドックで消化器に関係する異常を指摘された場合には、消化器内科への受診をご検討ください。


消化器内科と他の診療科の違い

一般内科との違い

一般内科では、発熱や倦怠感、生活習慣病など、全身のさまざまな症状や病気を幅広く診療します(えばらクリニックでも対応しています)。

一方、消化器内科では、食道・胃・腸・肝臓・胆のう・すい臓など、消化器に関わる病気を専門的に診療します。血液検査、腹部エコー、内視鏡検査などを組み合わせて、診断や治療を行います。


消化器外科との違い

消化器内科と消化器外科では、主な治療方法が異なります。

消化器内科では、薬による治療や内視鏡を使った検査・治療などを中心に行います。
手術が必要な場合には、消化器外科などの専門医療機関と連携して治療を進めます。


消化器内科で行う主な検査

胃カメラ

胃カメラでは、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察します。胃炎、胃潰瘍、ポリープ、腫瘍などの有無を確認でき、必要に応じて病変の一部を採取する「生検」を行うこともあります。

岡山市北区の消化器内科えばらクリニックでは、以下の方法に対応しています。
  • 経口・覚醒状態での胃カメラ
  • 経口・鎮静剤を使用した胃カメラ
  • 経鼻胃カメラ
検査を受ける方の希望や状態を確認しながら、適した方法をご相談します。




大腸カメラ

大腸カメラでは、大腸の粘膜を直接観察し、大腸ポリープ、大腸がん、炎症などの有無を確認します。

検査中にポリープが見つかり、切除が適切と判断された場合には、内視鏡によるポリープ切除術を行うこともあります。

すべての病変が内視鏡による切除の対象となるわけではありません。より専門的な治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介します。




腹部エコー

腹部エコーでは、超音波を使って肝臓、胆のう、胆管、すい臓などの状態を確認します。

脂肪肝や胆石が疑われる場合、肝機能異常を指摘された場合などに用いられます。
放射線を使用しないため、身体への負担が比較的少ない検査です。


専門医による診療とAI診断補助機能を搭載した内視鏡システム

岡山市北区の消化器内科えばらクリニックでは、日本消化器病学会および日本消化器内視鏡学会の専門医が診療・内視鏡検査を担当しています。

消化器の病気は、症状だけでは判断が難しいことがあります。健診結果や自覚症状を確認し、必要な検査を組み合わせながら、診断や治療方針を検討します。


また、胃・大腸の内視鏡検査では、AIによる診断補助機能を搭載した内視鏡システムを採用しています。

AIによる診断補助機能は、内視鏡画像の観察を支援するための機能です。診断は、検査を担当する医師が内視鏡所見などを総合的に確認したうえで行います。




このようなときは消化器内科へ

次のような症状や異常がある場合は、消化器内科への受診をご検討ください。
  • 胃痛、腹痛がある
  • 胸やけや胃もたれが続く
  • 吐き気や食欲不振がある
  • 便秘や下痢など、便通の異常がある
  • 血便が出た
  • 便潜血検査が陽性だった
  • 肝機能の数値が高かった
  • 胃の検査で異常を指摘された
  • 健康診断で「要再検査」「要精密検査」と判定された
症状が軽い場合や、どの診療科を受診すればよいかわからない場合でも、お気軽にご相談ください。


消化器の症状や健診結果が気になったらご相談ください

消化器内科では、食道・胃・腸だけでなく、肝臓、胆のう、胆管、すい臓まで、消化に関わる幅広い臓器を診療しています。

岡山市北区の消化器内科えばらクリニックでは、日本消化器病学会および日本消化器内視鏡学会の専門医が診療を担当し、胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコーに対応しています。

胃カメラは経口・覚醒状態、経口・鎮静剤使用、経鼻から選択でき、大腸カメラでは適応に応じてポリープ切除術にも対応しています。また、胃・大腸の内視鏡検査には、AIによる診断補助機能を搭載した内視鏡システムを採用しています。

胃痛や腹痛、胸やけ、便通の異常などの症状がある方、健康診断で消化器に関する異常を指摘された方は、岡山市北区のえばらクリニックへお気軽にご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

2026年度 インフルエンザ予防接種のご案内

2026/09/18

接種期間

2026年10月1日(木)~2027年1月31日(日)

ご予約方法

今年度からWEB予約をご利用いただけることになりました!

①WEB・LINE予約

2026年9月17日から、インフルエンザワクチン接種のWEB予約を開始いたします。
公式LINEのWEB予約ボタンから、予約をお取りください。

初めて公式LINEに登録した方、初めて公式LINE経由でWEB予約をする方は、
初回のみお名前生年月日等の情報を登録すれば(パスワードの設定必要なし)、
以降は当院のWEB予約が簡単に取れるようになるのでお勧めです。(割引制度もあります)

もちろん、公式LINEを利用されない方でも、WEB予約はご利用いただけます。
また、電話予約・窓口でのご予約も今まで通り受け付けております。
WEB予約で希望の枠が取れなかった、ご家族で複数人同じ時間帯に受けたいという方も、
可能な限り調整いたしますので、お電話ください。

②電話予約

診療時間内にお電話ください。
086-287-3300

③窓口での予約

来院時に窓口にてご予約ください。

④予約なしでのご来院

予約優先制ですが、直接のご来院も受け付けております。
混雑状況によってはお待ちいただく場合がございますので、あらかじめご了承ください。

持ち物

①マイナンバーカードか資格確認証、もしくは年齢と住所確認が可能なご本人確認書類(免許証など)
②問診票(事前にご記入になってお持ちいただくとスムーズに受けていただくことができます。来院されてからご記入いただくこともできます)

お願いごと

※当日の体温が37.5度以上の場合は事前にお電話にてご相談ください。
※キャンセルや日時変更の場合はお早めにご連絡をお願いいたします。

料金について

(税込)
対象 通常料金 LINEお友だち追加
65歳以上の方 岡山市の方 1,800円 -
倉敷市の方 1,800円 -
吉備中央町
その他の市町村の方
1,600円
各市町村のHPなどでご確認ください
-
その他助成の対象となる方 各市町村のHPでご確認ください -
13~64歳の方 個人の方 3,600円 3,300円
企業でご契約の方 3,300円 -
13歳未満の方 ※ 1回目 3,600円 3,300円
2回目 2,500円 2,200円
※ お一人あたり2回接種までです。
※ 幼児~高校生の方は保護者の方のご同伴をお願いいたします。

LINEお友だち追加
キャンペーン
  • LINE公式アカウントにご登録いただくと、接種費用が300円割引になります。
  • ご家族どなたか1人が登録すれば、同居の方全員がキャンペーン価格で接種可能です。
  • ときめきプラザのクーポンとの併用可能です。
  • お友だち追加は、https://lin.ee/orlQgWCをクリック、またはQRコードを読み取ってご登録ください。

各自治体のHP


子どもの公費助成情報

総社市

平成23年4月2日から平成24年4月1日に生まれた中学3年生を対象に、インフルエンザワクチン費用2,000円の助成が受けられる制度があります。当クリニックでもこの制度を利用することができます。
詳しくは総社市ホームページでご確認ください。
※当クリニックは岡山市の医療機関ですので、「市外医療機関の場合」の手続きをご確認ください。

吉備中央町

満1歳~小学6年生まで、中学校1~3年生までの方を対象に、不活化ワクチン 1,500円/1回の助成が受けられる制度があります。
当クリニックでもこの制度を利用することができます。
詳しくは吉備中央町ホームページでご確認ください。

企業・団体様向け インフルエンザ予防接種のご案内

当クリニックでは、企業・事業所・学校などへの出張予防接種を行っております。

料金

  • 接種費用:お一人様 3,300円(団体継続割引適用)
  • 出張料(出張接種の場合のみ):1回の出張につき 3,300円(ワクチン1名様分)
    ※遠方の場合は、距離に応じて3,300円~5,500円の範囲で設定いたします。

ご来院での接種をご希望の場合

ご希望の人数と、予約希望日時をお知らせください。

出張接種をご希望の場合

  • 受付期間:10月1日~12月25日(月~金曜日)
  • 場所:ご指定の事業所へお伺いします。
  • スタッフ:院長とスタッフ1~2名(車1台)でお伺いします。
  • 時間:午前の診療終了後に出発し、12:45~13:00頃に到着予定です(距離により前後します)。
    到着後、準備が整い次第、接種を開始します。

お受けできる出張エリアの目安

当クリニックから車で片道15分ほどの距離(出張エリアの参考)

ご案内事項

いずれの場合も、事前に問診票をお送りします。
ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

「食欲が湧かない」のは夏バテ?消化器の病気が隠れていることも?

2026/09/08


便の形と腸の健康について

「最近、どうも食欲が湧かない」
「暑くなってから、食事をあまり欲しくなくなった」
「食欲がないけれど、夏バテだろうか」

夏になると、このようなご相談が増えてきます。
暑い日が続いて体力を消耗したり、冷たいものを飲み食べすることが増えたり、寝苦しくて睡眠不足になったりすると、一時的に食欲が落ちることがあります。

しかし、「食欲が湧かない」という症状=夏バテと片づけてしまうのは、注意した方がよいかもしれません。
食欲不振の背景には、胃や食道、肝臓、胆のう、膵臓など、消化器に関係する病気が隠れている場合があります。

今回は、「食欲が湧かない」ときに考えられる原因と、消化器内科を受診したほうがよいケースについて解説します。


夏場に食欲が湧かない原因は「夏バテ」だけではありません

食欲がないとき、この時期にまず思い浮かぶのが夏バテではないでしょうか。
夏は気温が高く、体温を調節するために身体への負担が大きくなります。また、冷房による室内外の温度差、睡眠不足、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎなどによって、胃腸の働きが低下し、食欲が落ちてしまうことがあります。

このような場合は、服装の工夫や水分・栄養補給、時には温かいものを摂ることによって、徐々に食欲が戻ってくることが多いでしょう。

一方で、食欲がない状態が長く続いている場合や、ほかの症状を伴っている場合には、単なる夏バテではないのかもしれません。


「食事をあまり欲しくない」から考えられる消化器の病気

「食欲が湧かない」という症状から、次のような消化器の病気が見つかることがあります。


胃炎・胃潰瘍/十二指腸炎・十二指腸潰瘍

ピロリ菌や特定の薬(痛み止めなど)により、胃や十二指腸(胃からつながる小腸の入口)の粘膜に炎症や傷ができる病気です。

胃炎や胃潰瘍、十二指腸炎や十二指腸潰瘍では、食欲不振のほかに、
  • みぞおち辺りの痛みや不快感
  • 胃もたれ
  • 吐き気
  • 胸やけ
  • 食前後の不快感
などがみられることがあります。

特に、胃の辺りの痛みや不快感が続いている場合には、単なる夏バテと考えず、一度消化器内科で相談することをおすすめします。


逆流性食道炎

胃酸が食道へ逆流することで、食道に炎症が起こる病気です。
代表的な症状は胸やけやげっぷ、酸っぱいものが上がってくる感じ(特に食後30~60分の間に横になるなど「頭を低い位置に持っていったとき」に悪化する)ですが、食欲低下や食後の不快感として自覚されることもあります。

「食欲が湧かないけれど、胃の痛みはそれほどない」という場合でも、胸やけやげっぷが増えていないか確認してみましょう。


胃がん

胃がんは、早期には目立った症状がないことも少なくありません。
病気が進行すると、食欲不振、胃もたれ、みぞおち辺りの不快感、体重減少などがみられることがあります。

もちろん、「食欲がない=胃がん」というわけではありません。
しかし、色々やってみても食欲が戻らない、最近食べられていないにしても体重が目立って減ってきている、胃の辺りの症状が続く・悪くなってきているという場合には、胃カメラで早めに胃の状態を確認することが大切です。




肝臓・胆のう・膵臓の病気

食欲不振は、胃だけではなく肝臓や胆のう、膵臓などの病気でも起こることがあります。

特に、食欲がないことに加えて、
  • 強い腹痛がある(特に油ものを食べた後に悪化する)
  • 吐き気や嘔吐が続く
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある
  • 尿の色が濃くなった(水やお茶をしっかり摂っても戻らない)
  • 急に体重が減った
といった症状がある場合には、消化器内科へ早めの受診が必要です。
もし健診や人間ドックを受けられていたら、ぜひ結果が分かる書類などをご持参ください。


食欲がないけれど、どのくらい続いたら受診すべき?

食欲不振が一時的なもので、休息を取ることで改善しているのであれば、必ずしも病気が隠れているとは限りません。
ただし、食欲が湧かない状態が1週間以上続いている、徐々に悪化している、他にも症状が出てきた、体重が減ってきていて戻ってこないという場合には、一度消化器内科を受診しましょう。

「夏だから仕方ない」とあまり長い間我慢してしまうことで、病気の発見が遅れてしまう可能性もあります。


食欲が湧かないときは、まず「ほかの症状」に注目しましょう

食欲不振だけで原因を判断することはできません。
そこで、「食欲がない」という症状に加えて、ほかに気になる変化がないか確認してみましょう。

例えば、
「最近、胃もたれが増えた」
「食後にみぞおちが痛い」
「胸やけがする」
「吐き気がある」
「便通が変わった」
「以前より体重が減った」

このような症状があれば、消化器の病気が関係している可能性があります。
特に症状が長引いている場合には、早めに消化器内科へご相談ください。


食欲不振が続く場合は、岡山市の消化器内科えばらクリニックへ

「食欲が湧かない」という症状は、夏バテや疲労などによって一時的に起こることもあります。
しかし、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎などの消化器疾患が原因となっていることもあり、場合によっては胃がんなどの病気が隠れている可能性もあります。

大切なのは、「夏だから」「暑いから」と自己判断して長期間放置しないことです。
食欲不振が続いている場合や、腹痛、胃もたれ、吐き気、胸やけ、体重減少などの症状を伴っている場合には、消化器内科を受診しましょう。

岡山市の消化器内科えばらクリニックでは、食欲不振をはじめ、胃痛、胃もたれ、胸やけ、吐き気などの消化器症状について診療しています。
「食欲が湧かないだけだから」と我慢せず、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

大腸がん検診で便潜血が「陽性」だったら?「もう一度検便」ではダメなの?

2026/09/08


便の形と腸の健康について

「大腸がん検診を受けたら、便潜血反応が陽性だった」

そんな結果を見ると、「もしかして大腸がん?」と不安になってしまいますよね。
一方で、「痔があるからかな?」「硬い便だったから血がついただけでは?」「大腸カメラはしんどいと聞くので、もう一度検便をして陰性なら大丈夫では?」と考える方も少なくありません。

今回は、便潜血検査が「陽性」だった場合に、どう考えればよいのかを解説します。


便潜血検査は、負担と精度のバランスに優れた検査です

便潜血検査
便潜血検査は、便の中に混じったごく微量の血液を調べる検査です。自宅で採便でき、身体への負担もほとんどありません。

それでいて、大腸がんによる死亡を減らす効果が確認されており、「負担が少ないのに、しっかり大腸がんを見つける」非常に優秀なスクリーニング検査です。
日本の「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版」でも、免疫便潜血検査は推奨グレードAとされています。

現在の免疫便潜血検査では、大腸がんを見つける感度(病気を見つける割合)は約84%、特異度(病気でないと判定する割合)は約92%と報告されています。
もちろん、どちらも100%ではありませんが、身体への負担がほとんどないことも含めて考えると、非常にバランスのよい検査といえるでしょう。


便潜血検査の方法「2回法」と「1回法」

日本では、便を2日分採取する「2回法」が広く行われてきました。
大腸がんやポリープからの出血は、いつも起こっているとは限りません。そのため、1日分の便だけでは血液を検出できなくても、別の日には検出できる可能性があります。

2回法では、1回法と比べて大腸がんを見つける感度が高くなる一方、陽性となる人も増えるため、特異度は低下する傾向があります。
つまり、「見逃しを少なくすること」を重視した方法と考えると分かりやすいでしょう。

なお、国立がん研究センターの2024年度版ガイドラインでは、1回法・2回法のいずれも選択肢として認められています。


便潜血「陽性」=大腸がん、ではありません

便潜血検査が陽性だったからといって、大腸がんと決まったわけではありません。
硬い便で肛門や粘膜が傷ついた場合や、痔核から出血した場合など、大腸がん以外の原因でも陽性になることがあります。また、採便時に経血が混入してしまうこともあります。
つまり、「陽性」だとしても、その血液がどこから来たのかまでは分かりません。

こうお伝えすると、「それなら、もう一度検便をして、陰性だったら安心してよいのでは?」と考える方もいらっしゃることでしょう。実際、こうしたご相談は少なくありません。
そうですよね。そのお気持ちは大変ごもっともで、自然な発想だと思います。

ただ、2回目の検便が陰性になったとしても、最初の検査が陽性だった事実がなくなるわけではありません。
大腸がんやポリープからの出血は、毎回の便に必ず混じるわけではないためです。せっかく検診で「病気を見つけるきっかけ」が得られたのに、再検査がたまたま陰性だったことで精密検査を受けず、後になって症状が出てから大腸がんが見つかる――という可能性も否定できません。

そのため、便潜血検査が陽性になった場合には、「なぜ陽性になったのか」を確認するために、大腸カメラによる精密検査を受けることが大切です。国立がん研究センターも、便潜血検査で陽性になった場合には、必ず精密検査を受けることを勧めています。


「大腸カメラはしんどそう……」という方へ

そうはいっても、「大腸カメラは痛そう」「検査が大変そう」と想像されるのは当然だと思います。
当クリニックでは、患者さんの状態やご希望を確認しながら、鎮静剤や鎮痛薬を使用して、できるだけ検査の負担を減らすことができます。

「検査中の不快感をできるだけ感じず、眠っているような状態で受けたい」という方には鎮静剤を、「しんどいところだけ楽になればよく、検査後まで眠気を引きずりたくない」という方から「眠気が検査後に残ってもよいので、しっかり効かせてほしい」という方まで、ご希望を伺いながら鎮静の程度を相談して決めています。
また、「とにかく痛いのがイヤ」という方には、鎮痛薬を使用することもできます。

もちろん、鎮静剤や鎮痛薬がすべての方に適しているわけではありません。持病や当日の体調などによって使用できない場合もありますので、事前にご相談ください。

なお、鎮静剤や鎮痛薬を使用した場合は、検査後の自動車・バイクなどの運転はできません。
そのため、第一にはご家族などによる送迎をお願いしています。ご近所にお住まいなど、状況をご理解いただける方については、徒歩や公共交通機関を利用して帰宅していただくこともできます。




特に「大腸がんのリスクが高い方」は、一度検査を受けてみませんか?

大腸がんは年齢とともに増えていきます。
また、大腸がんになったご家族がいる、大腸ポリープを指摘されたことがある、タバコを吸う、飲酒量が多い、肥満や運動不足があるなど、いくつかのリスク因子が知られています。




特にこうしたリスク因子を複数お持ちの方は、「一度くらい、大腸の中を直接見てもらおう」と考えてみてはいかがでしょうか。
大腸カメラでは、ポリープなどの病変を直接確認でき、必要に応じてその場で治療につなげられることもあります。

「便潜血陽性=大腸がん」ではない、なので必要以上に怖がる必要はありません。
一方で、「痔だろう」「次の検便が陰性だったから大丈夫」と楽観視してしまうのもおすすめできません。

負担が少ない便潜血検査でざっとチェックし、陽性になったときには詳細を確認するために大腸カメラを、という「二段構え」が消化器内科専門医としての現時点でのオススメです。

「一度くらい、自分の大腸をきちんと調べておこうかな」
そのくらいの気持ちで構いません。

特に大腸がんのリスクが高いと思われる方、そして今回便潜血が陽性だった方は、ぜひ一度、大腸カメラ検査についてご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

岡山市の「特定健診」で健康を守る

2026/08/05


最近、お腹周りが気になる。周りからも「そろそろメタボじゃない?」と言われる。いやいやビールも控えてるし、暑い中を毎日通勤してるし、まぁまだ大丈夫でしょ…ことはありませんか?「少し太っただけだし、痛くもなんともないから大丈夫」と軽く考えて(自分に言い聞かせて)しまいがちですが、ここでひとつ質問です。

「メタボ」って、そもそもなんですか?

…いかがでしょうか。「いいイメージ」ではないけれど、かといって「お腹周りが大きい」「体重が多い」「血圧/コレステロール/血糖値が高い」というだけでもないような…というところなら、医学的にいって「ほぼ正解」です。これらが組み合わさった状態を「メタボリックシンドローム(メタボ)」といいます。
ではどうして(時にはなんともいえない表情と口調とで)「あなた、メタボじゃない?」なんて言われてしまうのでしょうか。そしてなぜ上記のように「いやいや…」と反応してしまうのでしょうか。

今回は、メタボリックシンドローム(メタボ)の本当の「怖さ」と、それを見逃さないための取り組みとしての公的健診(費用については岡山市のものを採り上げています)についてお話しします。


メタボは「命に関わるドミノ」の最初の一枚

メタボリックシンドロームの仕組み
上に書いたように、メタボとは「内臓脂肪が蓄積した状態に加え、血圧、血糖、脂質の異常が複数重なっている状態」を指します。内臓脂肪の量は厳密にはお腹のCT検査で測定するのですが、放射線被ばくや費用の問題からお腹周り(腹囲)で判定することになっています。日本の場合、男性で腹囲85cm以上、女性で90cm以上が診断の基準となっています(基準値は国によって異なります)。

つまり、「お腹周りが基準値より大きいうえに、血圧/コレステロール/血糖値のうち2つ以上で異常値になっている状態」のことを「メタボ」というわけです。

このメタボが特に注意されるのは、一つひとつの数値が少し基準値を越える程度でも、複数が重なることで動脈硬化が急速に進行するからです。その結果、心筋梗塞や脳卒中といった命に直結するような大きな病気が立て続けに起こる「メタボリックドミノ」が引き起こされます。一つひとつの生活習慣病よりも警戒レベルを引き上げ、できることから取り組んでいただくことをぜひお勧めします。ただ、こうした本来の意味での「怖さ」の一方で、現実には冒頭で取り上げたような扱われ方をされかねないところに、もう一つの「メタボ」の「怖さ」があると思っています。

それは「メタボ」という言葉は「不摂生の象徴」、ひいては「自己管理能力の欠如」という「烙印」として機能することがある、という点です(だから「なんともいえない表情と口調」が伴い、「いやいや…」と反応してしまうのではないでしょうか)。

いずれかが原因ではあったかもしれなくても、これから先もそれが続くとは限りません。

お一人おひとりが「よい人生を過ごす基盤としての健康」を取り戻そうと頑張れるよう、えばらクリニックが伴走していきたいと思っています。

願わくば、お一人おひとりがお互いに心の中ででもエールを送り合う世界になりますように…。


岡山市の特定健診を活用しましょう

こういった記事をここまでお読みくださっている方々はおそらく「大丈夫」ではないかと思いますが、客観的に健康状態をチェックするために公的な仕組みとして用意されているのが、「特定健康診査(特定健診)」です。
(なお、下記の項目はいずれも岡山市の場合です。詳細はお住いの自治体からの案内をご確認ください)


対象と料金

40歳〜74歳の方 自己負担金はわずか500円です。
さらに、節目年齢(40・50・60・66歳)の方は無料で受けられます。
35歳〜39歳の方 「35歳からの健康診査」として2,050円で受診可能です。


検査内容

問診、身体測定(腹囲含む)、血圧測定、血液検査(脂質・血糖・肝機能・腎機能など)、尿検査など、約9,000円相当の内容が含まれています。


実施期間

6月1日から12月31日まで


えばらクリニックは岡山市の特定健康診査を実施しています

「どこで受ければいいかわからない」という方もご安心ください。当院は岡山市・総社市・吉備中央町の特定健診実施医療機関です。

受診の際は、市から郵送された
  • 「受診券」
  • 「健康保険証(またはマイナ保険証)」
を忘れずにお持ちください。もし受診券を紛失された場合は、市の専用ダイヤルで再交付の申請が可能です。


終わりに

メタボの改善には、運動や食生活、睡眠などの生活習慣の見直しが有効です。しかし、まずは「今の自分の状態を知ること」がすべての始まりです。
手遅れになる前に、特定健診を受けて健康寿命を延ばしましょう。当院では、皆さんの不安に寄り添い、健診結果に基づいた適切なアドバイスを行っています。ぜひお気軽にお電話でご予約ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

「のどの違和感」が続いていませんか? ~胃カメラでわかる病気が隠れていることもあります~

2026/08/05


「のどに何かが引っかかる気がする」
「食べ物が詰まっているような感じがする」
「のどがつかえる感じがある」
「痰のようなものが貼り付いているような違和感がある」
このような症状は、医学的には「咽頭違和感(いんとういわかん)」と呼ばれます。

実際の外来では、
  • のどがつかえる
  • 何かが引っかかっている
  • 異物感がある
  • 飲み込んだものが胃に落ちていかない感じがする
  • のどの奥がなんとなく気になる
  • いつも何かが貼り付いている感じがする
など、さまざまな表現で相談を受けます。
なかには、「うまく説明できないけれど、なんとなく気になる」とお話しされる方もいらっしゃいます。
痛みはないものの違和感が続いていたり、何か月も症状が改善しなかったりすると、「何かよくない病気でもあるのかしら…」などと気になるものです。

のどの症状というと耳鼻咽喉科の病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、食道や胃の病気が関係していることも少なくありません。
そのため、症状が長引く場合には胃カメラ検査が役立つことがあります。


のどの違和感の原因は、実は胃や食道かもしれません

咽頭違和感の原因としてよくみられるものの一つが、胃酸の逆流です。
胃酸や胃の内容物が食道やのどまで逆流すると、粘膜が刺激され、「つかえる」「引っかかる」といった違和感につながることがあります。

当院でも、のどの違和感をきっかけに胃カメラ検査を行い、食道や胃の病気が見つかるケースは決して珍しくありません。


逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流し、炎症を起こす病気です。
代表的な症状は胸やけですが、
  • のどのつかえ感
  • のどの異物感
  • 慢性的な咳
  • 声のかすれ
など、のどの症状として現れることもあります。

胸やけをほとんど感じておらず、「のどの違和感だけ」が受診のきっかけになる方も少なくありません。
治療としては、胃酸を抑える薬の内服や食生活の見直し、体重管理などが基本になります。
また、食後すぐに横にならないことや、長時間前かがみの姿勢を続けないことも症状の改善につながります。


咽喉頭逆流症

胃酸が食道を越えて、のどの近くまで逆流する状態です。
食道よりも咽頭や喉頭への影響が目立つため、
  • のどがつまる感じ
  • イガイガ感
  • 声のかすれ
  • 空咳
などが主な症状になります。

風邪が治った後も咳や違和感だけが続く場合には、この病気が関係していることもあります。


好酸球性食道炎

近年増加しているアレルギー関連の食道疾患です。
食道に慢性的な炎症が起こることで、
  • のどの違和感
  • 飲み込みにくさ
  • 食べ物がつかえる感じ
などの症状がみられます。

以前はあまり知られていませんでしたが、胃カメラ検査によって見つかる機会が増えている病気の一つです。
適切な治療によって症状の改善が期待できます。


のどの違和感には注意が必要な病気が隠れていることもあります

咽頭違和感の多くは良性の病気によりますが、中には早期発見が大切な病気が隠れていることもあります。
その代表が食道がんです。

食道がんの初期には、
  • のどの違和感
  • 食べ物がしみる感じ
  • 飲み込む時の違和感
といった比較的軽い症状しか現れないことがあります。

また、食道の炎症や狭窄などが原因となって症状が出ている場合もあります。

「なんとなく気になるだけだから大丈夫だろう」と思っていた症状の背景に病気が隠れていることもあるため、症状が続く場合には一度確認しておくことが大切です。


のどの違和感は耳鼻咽喉科の病気やストレスが関係していることもあります

もちろん、咽頭違和感の原因は胃や食道の病気だけではありません。
慢性咽頭炎やアレルギー性鼻炎、後鼻漏などの耳鼻咽喉科疾患のほか、ストレスや自律神経の乱れが関与していることもあります。
ただし、症状だけで原因を見分けることは意外と難しいものです。
だからこそ、まずは胃や食道に異常がないかを確認することに大きな意味があります。


のどの違和感が続くなら胃カメラ検査をご検討ください

胃カメラ検査では、食道・胃・十二指腸を直接観察することができます。

そのため、
  • 逆流性食道炎
  • 咽喉頭逆流症の原因となる胃酸逆流
  • 好酸球性食道炎
  • 食道がん
  • 食道狭窄
など、のどの違和感の原因となりうる病気を詳しく調べることができます。
また、異常が見つからなかった場合でも、「重大な病気が隠れていないこと」を確認できるため、大きな安心につながります。

実際の診療でも、検査後に「病気がないと分かったら気持ちが楽になりました」と話される方は少なくありません。

のどの違和感が数週間以上続く方、症状を繰り返している方、飲み込みにくさを感じる方は、一度胃カメラ検査を検討してみませんか?
症状の背景にある原因を明らかにすることが、適切な治療への第一歩になります。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

背中の痛みは何が原因?~すい臓がんとの関係とは~

2026/07/10




消化器内科専門医として診療していると、数ヶ月に1度ほどの頻度で「最近背中の奥の方が痛いんです…もしかして、すい臓がんなのでしょうか?」と、たいへん不安な調子でのご相談をお受けします。

実際のところインターネットで「背中の痛み 内臓の病気」と検索すると「すい臓がん」という言葉が出てきますし、「すい臓がん」で検索すれば怖い話がたくさん見つかります。それらについてまた検索して…と、文字通り夜も眠れないほど悩んでしまう方も珍しくありません。

しかし、私はそういったご相談に対しては、
「背中の奥に痛みがあるからといって、すぐにすい臓がんとはいえません」
とお答えしています。

今回は、なぜすい臓がんで背中が痛くなることがあるのか、そして「心配すべき痛み」と「そうでない痛み」の違いについて、専門医の視点から詳しく解説します。


なぜ「すい臓の病気」では背中に痛みが出るのか

なぜ「すい臓の病気」では背中に痛みが出るのか
そもそも、なぜ「お腹」の中にあるはずのすい臓の病気で「背中」が痛くなることがあるのでしょうか。
その理由は、すい臓の「他の臓器との位置関係」にあります。

すい臓は、胃や小腸・大腸のちょうど奥側、お腹の最も奥まったところにある長さ20cmほどの細長い臓器です。さらにその背中側には背骨があり、神経の束(腹腔神経叢)が接しています。すい臓に炎症が起きたり、腫瘍ができたりすると、位置的にその腹腔神経叢が刺激されやすく、脳はその刺激を「背中が痛い」という信号として受け取ってしまうのです(これを医学用語で「関連痛」と呼びます)。

この「お腹の奥深くに位置している」という特徴こそが、すい臓の様子を検査で調べにくく、異常を早くに見つけるのが難しい理由の一つです。


背中の痛みの原因は多岐にわたる

一方で「背中の奥の痛みを引き起こす原因」から考えてみると、すい臓がん以外にもたくさんの可能性が挙げられます。

整形外科的な病気

いちばん日常的で頻度が多いのが筋肉や骨に関するトラブルです。筋肉痛、姿勢の問題、肩こりでお悩みの方は大勢いらっしゃる(この文章を読んでいるそこのあなたも?)でしょうし、あるいは脊椎の病気(骨粗しょう症からの脊椎圧迫骨折など)といった整形外科的な病気は年齢とともに増えていきます。

他の消化器疾患

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう炎、さらには逆流性食道炎でも背中に痛みが出ることがあります。

すい臓の良性疾患

急性膵炎や慢性膵炎といった炎症、あるいは「膵のう胞(すいのうほう)」と呼ばれる水の袋が原因で痛みが生じることもあります。

心臓やそれに連なる大きな血管、肺の病気

「胸の痛み」をイメージされることが多いかもしれませんが、上の文章で挙げた「関連痛」として背中に痛みが出ることがあります。
このように、痛みはあくまで「体からのサイン」の一つであり、その原因のすべてが悪性腫瘍(がん)というわけではありません。


背中の痛みで「注意すべきサイン」とは何か

では、どのような場合に消化器内科をはじめ病院を (場合によっては早めに) 受診すべきなのでしょうか。
今回のコラムは「すい臓がんとの関係」についてですので、その可能性も考慮して注意すべきサインとして、背中の痛み「以外」の以下のような要素に注目していただきたいと思います(ただし、これらは「当てはまらなければすい臓がんではない」といえるものではありません)。

1.痛みの性質

背中のより下の方、腰のあたりを中心に「波があっても消えはしない痛み」が続いていること。「夜間に強くなる痛み」、あるいは「前かがみになると少し楽になる」といった特徴がある場合も要注意です。

2.他の症状

ダイエットをしていないのに1ヶ月で3~5%(または2〜3kg以上)体重が減るのは要注意。白目や皮膚が黄色みを帯びてくる「黄疸」も、膵がんに限った要素ではありませんが精密検査が必要です。

3.糖尿病の発症と急激な悪化

身内に糖尿病の人がいないのに突然発症したり、これまで安定していた血糖値が急に上昇した場合は、がんなどによるすい臓の機能低下を疑います。

4.生活習慣と家族歴

喫煙と飲酒(日本酒換算で3合以上)、第一度近親者(親子きょうだい)以内に1~2人ですい臓がんの方がいらっしゃる場合は、すい臓がんのリスク因子となります。
ただ背中が痛いだけでなく、これらの要素が重なった場合には、早急に消化器内科専門医へご相談ください。


がんの早期発見のために私たちができること

すい臓がんは確かに「難しい」がんの一つですが、近年、予後改善につながる早期診断を目指して様々な取り組みが進められています。岡山県で代表的なものが、「岡山早期膵癌プロジェクト(MOMOTAROプロジェクト)」という運動です。

これは、上記「注意すべきサイン」で挙げたような要素からすい臓がんのリスクが高い人を選定し、積極的に「腹部エコー検査」を行って小さな変化から拾い上げていこうというものです。ただし、すい臓は胃や腸のガスに隠れてエコーでは見えにくいことも多いため、必要に応じて「CT検査」や「MRI(MRCP)検査」、さらには胃カメラの先端に超音波装置がついた「超音波内視鏡(EUS)」などの高度な検査を組み合わせて診断していきます。

更に「血液検査」や「尿検査」でも、これまで使用されてきた「腫瘍マーカー」に続いて、すい臓がんでわずかに増加するアミノ酸やmRNA(メッセンジャーRNA、新型コロナウイルスワクチンでおなじみになりました)を検出することで、早期診断につなげられる可能性が出てきました。これらは検査が簡便なため患者さんご自身で購入・検査することもできますが、医療保険の適用外で高価なものが多いうえに結果の解釈が難しいため、事前に消化器内科専門医へ相談されることをお勧めします。


結論としてお伝えしたいこと

「背中が痛い…自分はすい臓がんに違いない!」といきなり決めつけて絶望する必要はありません。多くの場合はすい臓がんよりも、生活習慣の改善や適切な薬物治療で治る病気、あるいは整形外科的なケアで対応できる事態です。

しかし、「大抵は違うって先生も書いていたし、ただの疲れだろう」と、症状が続く・変わっていくにも関わらず長い間そのままにしておくこともまた、避けていただきたいのです。もし痛みが数日以上続き、何らかの不安を感じているのであれば、それは「一度自分の体をしっかり調べてみよう」という大切なきっかけであろうと思います。

岡山市北区のえばらクリニックでは、患者様の不安を丁寧にお伺いし、適切な検査を通じて「何が原因なのか」をはっきりさせることを大切にしています。早期に受診し、もし何も異常がなければ、それはそれで大きな安心につながります。

背中の痛みでお悩みの方は、一人で抱え込まず、どうぞお気軽に当院までご相談ください。






えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医

便が細いと大腸がん?

2026/07/10




便の形と腸の健康について

「最近、便が細い気がする……」
「便が細いと大腸がんって本当?」

このような不安を感じて受診される方は少なくありません。
インターネットでは「細い便=大腸がん」と書かれていることもありますが、
実際には便の太さだけで大腸がんと判断することはできません。

今回は、
  • 正常な便とはどんなものか
  • 便が作られる仕組み
  • 食物繊維と便の関係
  • 大腸がんでみられる症状
について、わかりやすく解説します。


正常な便の形状ってどんな?ブリストル便形状スケールとは?

便の状態を評価するときによく使われるのが、「ブリストル便形状スケール」です。
これは便の形を7段階に分類したもので、便の形や硬さから腸の状態を推測する目安になります。
タイプ 便の状態 傾向
1 コロコロした硬い便 強い便秘
2 硬くてゴツゴツした便 便秘傾向
3 表面にひび割れのある便 やや正常
4 バナナ状でやわらかい便 理想的
5 やわらかい小さな塊 やや下痢傾向
6 泥状便 下痢
7 水様便 強い下痢
便の状態を評価するときによく使われるのが、「ブリストル便形状スケール」です。
これは便の形を7段階に分類したもので、便の形や硬さから腸の状態を推測する目安になります。


麻しんの感染リスク期間

一般的にはタイプ3〜4くらいが理想的な便とされていますが、「太さ」については特に触れられていません。

排便については太さよりもむしろ、
  • 残便感
  • 回数(週に何回出るか)
  • 硬さ
  • 色
  • 血が混じっていないか
などの方が(少なくとも医師としては)重要なポイントです。


便はどうやって作られる?

食べたものは、
①胃で消化され
②小腸で栄養が吸収され
③大腸で水分が調整されながら
少しずつ便として形作られていきます。

上記のブリストル便形状スケール(=硬さ)について言えば
  • 水分が吸収されすぎる → 硬い便・便秘
  • 水分が多すぎる → やわらかい便・下痢
となるわけですが、「太さ」については便の材料、つまり
  • 食べ物のカス
  • 食物繊維
  • はがれ落ちた腸粘膜(これがあるので「食べていなくても」便は作られます)
なども関係してきます。


食物繊維には2種類ある「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」

食物繊維には大きく分けて2種類あります。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維
水に溶けにくく、便の“かさ”を増やします。
【代表的な食品】
・野菜    ・豆類
・きのこ   ・玄米

便の量が増えることで腸が引き延ばされ、腸の動き(蠕動運動)が促されて便が出やすくなります。
ただし、便秘が強い方では、不溶性食物繊維を摂りすぎると「便の渋滞」を引き起こしてしまって逆に出づらくなることもあります。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維
水に溶けてゲル状になり、便を包みまとめて整えます。
【代表的な食品】
・海藻   ・オクラ
・納豆   ・果物

腸内環境を整える働きもあり、便秘・下痢の両方に役立つことがあります。


便が細くなる原因は?

もちろん、直腸など便の通り道が大きな「大腸がん」により狭くなっていれば出てくる便は細くなりやすいため、原因として考えられなくはありません。

ただし、上に挙げたことを踏まえると、「便が細くなる」原因としては
  • 食事量の低下
  • 食物繊維の摂取不足
  • 腸内で便の水分量が多い状態
  • 腸の動きの不安定化(生活習慣の乱れ、ストレスなど)
などの方がより一般的かつ頻度が高いと思われます。
そのため、「便が細い=大腸がん」とは言い切れないのです。


大腸がんではどんな症状が出る?

大腸がんでみられる「ことがある」症状には、
  • 血便や貧血
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 残便感
  • お腹の張り
  • 体重減少
などがあります。

ただし、いずれも「大腸がんに特徴的」といえるものではなく、大腸がんには“これがあれば確実”という特有の症状はむしろ「ない」という方が適切と考えます。
大腸がんの初期はもちろん、進行していても症状が目立たない場合があります。


どんな時に大腸カメラや検便を受けたほうが良い?

便が細いだけで、すぐに大腸がんを疑う必要はありません。

しかし、
  • 血便がある
  • 便通の変化が続く
  • 家族に大腸がんの人がいる
  • 40歳以上で検査歴がない
といった場合には、仮に「便が細くはない」としても、一度は検査を受けておくことをおすすめします。
まずは便潜血検査(検便)を行い、必要に応じて大腸カメラ検査を検討します。

大腸がんは、早期発見できれば治療可能ながんです。
「少し気になるな」という段階で相談することが大切です。




まとめ

  • 便の評価は「太さ」よりも「残便感」「回数」「硬さ(ブリストル便形状スケール)」の方が重要
  • 「太さ」には食事量や食物繊維なども関わってくる
  • 食物繊維には不溶性・水溶性の2種類がある
  • 便が細い原因はさまざまで、「細い=大腸がん」ではない
  • ただし、大腸がんには特有の症状がないため、気になる場合は検査を受けることが重要
便の変化は、体からのサインのひとつです。
気になる症状が続く場合は、お気軽にご相談ください。




えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医