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健康診断で「異常」を指摘されたら?治療の必要性と受診について

2026/10/08


健康診断の結果に「再検査」や「精密検査」と書かれていると、誰でも不安になるものですが、このような結果は決して珍しいことではありません。
厚生労働省の報告によると、2人に1人以上の確率で異常が指摘されるのが現状です。

この結果は、あなたの身体が発する大切なサインであり、病気の早期発見につながる貴重なチャンスでもあります。健康診断は「受けた後」の行動が最も重要です。結果を放置せず、「生活習慣を改善する」・「再検査や精密検査を受けにいく」など、自分の健康な将来を決めるのは、健診後の行動にかかっています。






健康診断の結果を正しく理解する

健康診断の目的は、病気の早期発見、早期治療に繋げることだけでなく、将来的にかかる可能性のある病気の予防のためにとても重要なのです。特に糖尿病のように、早い段階での症状がほとんどなく静かに進行していく病気に対して早い段階で対処する(これは後々の悪化や他の病気を予防することにもつながります)ためには、定期的な健康断が欠かせません。

健診結果の判定区分は施設によって異なりますが、ここでは一般的な区分を例に解説します。
特に、「C」や「D」の判定を受けた方は、必ず次のステップへ進みましょう。
判定区分(例) 意味 対応
A(異常なし/1段階) 検査結果が正常範囲内 特に心配する必要はありません
B(軽度異常/2段階) 基準値をわずかに超えているが再検査などの必要はない
C(要再検査・生活改善/要経過観察/3段階) 正常範囲ではないため、定期的な検査で経過観察が必要な状態 緊急性はありませんが、生活習慣を見直して正常範囲内に戻しましょう
D(要精密検査・要治療/要精検/4段階) より詳しい検査が必要、あるいは治療が必要な状態 必ず速やかに受診してください
E(治療中/要治療/5-6段階) 現在治療を受けている項目。引き続き治療を続けてください すでに治療が必要な異常値が見つかった状態なので、専門医を受診してください
多くの方が「C」(要再検査・経過観察)の段階で、そのまま放置してしまう傾向があります。
確かに基準値は目安であり、検査を受けた時間帯や当時の生活習慣によって数値が一定しないこともありますが、来年までそのままにせず(例えば3か月や半年後に)内科を受診して再検査などを受けて、ご自身の平均値を把握することが大切です。


「要再検査」と「要精密検査」の違い

異常があったときに推奨される検査には、「要再検査」と「要精密検査」の2種類があり、これらは意味が異なります。


要再検査

健康診断で行った検査と同じ内容の検査を行い、異常な数値が一時的なものか、長く続くかを判断します。

これにより、健康診断の時にたまたま異常値が出ただけなのか、本当に病気があって異常値が出たのかを確認します。例えば、「外食が続いた時期の後に受けた健診で中性脂肪が高く、それ以降節制しているため中性脂肪が今どうなっているかを確認する」という場合などが考えられます。


要精密検査

健康診断で行った検査よりもさらに踏み込んだ検査を行い、異常値の原因が何らかの病気なのか、また治療が必要な段階なのかを確認します。

身体に病的な異常があると判断し、その原因を特定するために行われます。例えば、「健診の胸部レントゲン検査で異常と考えられる影があったため、同じレントゲン検査ではなく一歩踏み込んだCT検査を行う」ことなどが該当します。精密検査の結果、問題ないという可能性もあります(それならそれでよかったです!)が、病気の特定と今後の対応を判断するためには必ず受診してください。


特に異常を指摘されやすい項目とリスク

健康診断で異常を指摘される項目で最も多いのは「血中脂質(コレステロールや中性脂肪」で、次いで「血圧」、「肝機能(AST、ALT、γ-GTP)」と、生活習慣病に関連する項目が多いことがわかっています。

高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病は自覚症状がないまま進行し、放置すると動脈硬化を進行させて狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)といった大きな病気に繋がる危険性が高くなってしまいます。

自覚症状が出てからの受診では実際に心臓や脳の働きに支障をきたしている可能性が高く、他の病気を引き起こすリスクが更に高くなってしまうため、症状が全くなくても(「気のせい」や「年のせい」で流してしまわずに)異常を指摘されたらできるだけ早く受診して治療を始めることが重要です。


血圧異常(高血圧の疑い)

<血圧の基準値>
基準値
収縮期(上の血圧) ~120mmHg台
拡張期(下の血圧) ~70mmHg台
■リスク
血圧(血管へかかる圧力)が高い状態が続くと血管に大きな負担がかかり、動脈硬化を引き起こして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また高血圧そのものが生命予後(長生きできるかどうか)に悪影響をもたらします。

■必要な対応
まず、この機会にご自身の「塩分摂取量」を振り返ってみてください。
一方で健診の際や医療機関での測定では緊張や安静が保てないことで高めに出る場合があるため、ご自宅でリラックスした状態(朝一番や寝る前など条件を揃えて)で測った血圧を記録したもの(アプリや手帳)を持参のうえ受診することをおすすめします。




脂質異常症(高脂血症)

■コレステロール/中性脂肪
LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪が動脈硬化を引き起こします。一方、HDL(いわゆる善玉)コレステロールは動脈硬化を防ぐ役割を持っています。
<脂質(コレステロール)の検査項目と健診における基準値>
基準値
総コレステロール 140-199mg/dL
LDLコレステロール 60-119mg/dL
HDLコレステロール 40mg/dL
中性脂肪(TG) 30-149mg/dL
■リスク
血管の壁にコレステロールや中性脂肪がこびりついて溜まっていくことで炎症を起こし、動脈硬化を引き起こします。高血圧と同様に異常値が続くと狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重篤な疾患の原因となります。また、近年では認知症の一因とも言われているため、早い段階(45~65歳!)で治療していくことが推奨されています。

■必要な対応
まずは「油ものを控える」だけではなく、「1日の総カロリー摂取量」を抑えるよう意識していきましょう(次に説明する血糖値などとも関係します)。できるところから運動を取り入れていく(駅で階段を使う、朝にご自宅回りを1周歩くなど)、お煙草をお吸いなら「もし禁煙できたら」を想像するというように、生活習慣について振り返ってみることをお勧めします。




血糖値異常(糖尿病の疑い)

<血糖値・糖代謝の健診における基準値>
基準値
空腹時血糖(BS、BG、Glu) 99mmHg以下
HbA1c 5.5%以下
■リスク
糖尿病は血液中のブドウ糖である血糖が高い状態であり、血管に慢性的な炎症を起こしてやはり動脈硬化につながります。大きな血管だけでなく全身の毛細血管にも重大な障害を起こし、失明や足指の壊死、透析治療が必要になる腎機能障害などの合併症につながる可能性があります。

■必要な対応
放置すると進行して様々な障害につながっていくため、糖尿病の疑いと指摘されたら、血糖が上がった原因(生活習慣だけとは限りません!)を見極めて、早期に適切な治療を始めることが大切です。まず血糖値ありきですが、過去1〜2ヶ月間の血糖値を反映するHbA1cや眼底の状況などと併せて診断します。




肝機能障害(AST, ALT, γ-GTPなど)

<肝機能の検査項目と健診における基準値>
基準値
AST(GOT) 30U/L以下
ALT(GPT) 30U/L以下
γ-GPT 50U/L以下
■リスク
アルコールの摂り過ぎや肥満による脂肪肝が最も多く、その他に肝炎ウイルス性(B型、C型)肝炎や薬剤性肝障害などが考えられます。
肝臓は体内の様々な合成・分解に関わっており、働きが落ちていくと体内のバランスが崩れてしまう他、炎症から繊維化を起こして肝硬変へ進行します。そうなると胃・食道の静脈瘤や肝臓がんといった大きな病気につながってしまいます。

■必要な対応
健康診断では大まかな肝機能障害の有無が分かるまでであり、その程度や原因までは判断できません。場合によっては早急な対処で進行を止める・遅らせることもできるため、まず精密検査を受けに消化器内科を受診してください。


腎機能の異常(低下)

<腎機能の主な検査項目と健診における基準値>
基準値
血性クレアチニン ・男性:1.0mg/dL以下
・女性:0.7mg/dL以下
eGFR 60以上
■リスク
腎機能が低下すると、余分な要素や水分を十分に尿として排出できず、むくみや高血圧を引き起こします。またミネラルバランスの乱れから不整脈や意識障害に繋がったり、ホルモン(腎臓も出してます!)を介して貧血や骨の代謝バランス異常を起こしたりします。
進行して慢性腎不全や尿毒症に至ると、人工透析で代用しないと身体全体の状態を保つことが難しくなってしまいます。

■必要な対応
症状が出てくることには進行している場合が多く、健診などでの早期発見と進行抑制が非常に重要です。糖尿病や高血圧など原因になる要素の管理を徹底し、運動療法や減塩・適切なタンパク質制限などの食事療法に取り組んでいきましょう。お薬で進行を遅らせることもできるようになっており、早めに内科で相談してください。


便潜血陽性・消化器系の異常

■リスク
便潜血陽性とは、便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれている状態を指します。主な原因としては痔などの良性疾患から、大腸ポリープや大腸がんなどの重大な疾患まで幅広く考えられます。わずかずつとはいえ出血が長期間続いて貧血になっていることがあり、特に40歳以上の年齢では胃潰瘍・胃がんや大腸がんなどが隠れている危険が高くなります。

■必要な対応
貧血や便潜血陽性を指摘された場合、胃や大腸からの出血を伴う病気が潜んでいる可能性があるため、胃カメラ・大腸カメラなど内視鏡検査などで原因を突き止めることが非常に重要です。早急に適切な治療が必要なケースがあるため、速やかに消化器内科を受診してください。




心電図の異常

■リスク
脈のリズム異常による不整脈、必要な血流が補われない心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、筋肉の異常による心筋症や心肥大など、心臓に問題がある可能性があります。

■必要な対応
「異常だが大きな問題なし」という状態も多い一方で、早めに循環器内科での精密検査が必要な場合も含まれます。症状がなくても必ず一度は内科を受診して相談して確認するようにしましょう。特に「身体を動かすと胸が苦しい(休むと治る)」「以前より息切れしやすくなった」「動悸が続く」など症状を伴う場合は、程度によっては直接循環器内科へ受診することを考えてください。


メタボリックシンドローム

■リスク
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が過剰に蓄積して高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を複数合併している状態のことを言います。この状態が続くと、それぞれの病気の程度が軽くても動脈硬化が進行しやすく、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳出血・脳梗塞)を発症するリスクが大幅に高まります。

■必要な対応
それぞれの数値が積極的な治療が必要なほど悪くないからこそ、早めの対応で(場合によってはお薬を使わずに?)コントロールしていける可能性があります。指摘を受けたらすぐに内科を受診し、節制から始めていきましょう。




二次検査が必要な場合

健康診断で二次検査(再検査・精密検査)が必要とされた場合、最もお勧めするのはすぐにかかりつけ医を受診することです。

かかりつけ医(主治医)は、患者さんにどのような既往歴があり、これまでどのような治療をしてきたか、またどんなお好みや生活習慣をお持ちかを把握しています。そのため、健診で異常が見つかった場合にも、なぜそのような結果になったのか、必要な検査は何かなどをより適切に判断して対応方法を知ることができるのです。

特にかかりつけ医がない場合、岡山市北区のえばらクリニックでは、内科専門医として、個人様の健康診断や企業様の健康診断、区民健診など各種健康診断に特に力を入れており、健診結果の二次検査の相談も可能です。総合内科専門医が在籍しているクリニックですと、検査結果を参考に身体全体を総括して診ていくことができます。

結果を放置せず、「まだ大丈夫」な時期に専門医の意見を一度、しっかり聞いておくことが、将来の健康リスク軽減と生活の質の向上につながります。

健康診断は「受けっぱなし」で終わらせてしまうことだけは避けましょう。自分のため、そして大切なご家族のために、これからの健康な日々のために、まずは健診結果をお持ちになってご相談ください。できる限り分かり易い言葉で病気や治療について丁寧な説明ができるように努めています。




えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医