診療時間
発熱外来
初診予約
LINE

再流行の兆し!はしか(麻しん)に注意してください

2026/06/11




現在、日本国内ではしか(麻しん)の感染報告が急増しており、厚生労働省や専門機関が「異常な増加」として強い警戒を呼びかけています。2026年4月の第14週から16週にかけて、毎週60名以上の新規感染者が確認されており、まさに再流行の兆しを見せています(岡山県においては2015年以降報告がありませんでしたが、2025年に11年振りに5例の報告がありました)。

「はしかは子どもの病気」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、それは大きな誤解です。大人が感染すると重症化しやすく、命に関わることもある非常に危険な感染症です。今回は、そのリスクと予防、そして岡山市の支援制度について詳しくお話しします。


麻しんの感染力はインフルエンザの10倍!?

麻しんの感染力はインフルエンザの10倍!?
麻しんウイルスの最大の特徴は、その非常に強い感染力です。
飛沫感染や接触感染だけでなく空気感染(飛沫核感染)をするため、同じ空間に約20分いるだけで感染する可能性があります。
例のウイルスのように仮にクルーズ船で発生しようものなら、あっという間に感染が拡大するでしょう。
しかも感染対策の定番である手洗いや通常の不織布マスクだけでは防ぐことができません。

その感染力はインフルエンザの約10倍と言われており、免疫がない人が感染者に接すると、約90%以上が発症します。1人の患者から12〜18人に感染を広げる力(基本再生産数)があり、これは現存する感染症の中でもトップクラスの強さです。


「ただの風邪」ではない麻しんの重篤なリスク

「ただの風邪」ではない麻しんの重篤なリスク
麻しんウイルスの潜伏期間は約10〜12日で、最初は発熱、咳、鼻水といった風邪に似た症状から始まります(そのため、感染した可能性のある日から2~3週間は体調に十分な注意が必要です)。
その後一旦熱が下がって回復したように見えますが、その2~3日後に再び39度以上の高熱と発疹が「耳の後ろ」や「顔」から現れ、徐々に体幹や手足へと広がっていきます。
発疹は初め小さな赤い斑点だったものが時間の経過とともに大きくなり、互いにくっついて(融合して)不規則な大きな赤い地図状の斑点になります。
「コプリック斑」という口の中の白い斑点は特徴的ですが、はっきりしないこともあるため「口の中はどうもなさそう」だからといって麻疹でないとはいえません。

恐ろしいのは合併症です。1,000人に1人の割合で脳炎を発症し、先進国であっても1,000人に1人が死亡するとされています。また、感染から数年後に「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という致死的な脳症を引き起こすこともあります。さらに、回復後も数週間から数ヶ月間、体の免疫機能が低下する「免疫健忘」という状態になり、他の感染症にかかりやすくなるリスクも指摘されています。


麻しんの感染リスク期間

そして最初の「風邪に似た症状」が出る「1日前(発疹出現の約4日前)」から、解熱して3日間を経過するまで、周囲に感染させてしまう可能性があります。
麻疹の発生が報告された後に「いつ頃どこに立ち寄った」「どの時間帯のどの公共交通機関を使った」などといった行動歴が報道されるのは、遭遇したかもしれない方々にその後2~3週間で体調変化が出てこないか注意を促すためなのです。


麻しんに特効薬はありません

現在、麻しんウイルスを直接退治する特効薬(抗ウイルス薬)は存在しません。治療は発熱に対する解熱剤の投与など、症状を和らげる「対症療法」が中心となります。つまり、かかってから治すのではなく、「かからないこと」が何よりも重要なのです。


唯一の予防法は「2回のワクチン接種」

唯一の予防法は「2回のワクチン接種」
麻しんを確実に防ぐ唯一の方法は、ワクチンの接種です。 1回の接種で約95%の人が免疫を獲得できますが、2回接種することでその効果は97〜99%に高まり、免疫をより強固なものにできます。麻疹の免疫がない場合や不明な場合でも、患者と接触してから72時間以内であれば、ワクチンの緊急接種によって発症を防げる可能性も出てきます。

特に注意が必要なのが、世代による接種歴の違いです。
【1990年4月1日以前に生まれた方】
制度の関係で、定期接種が1回のみ、あるいは一度も受けていない可能性が高い世代です。

【1990年4月2日以降に生まれた方】
原則として2回の定期接種を受けている世代ですが、記録が不明な場合は確認が必要です(血液検査での抗体価測定はあくまで参考所見・代替指標であり、ワクチンの接種歴の方が重要視されます)。
社会全体の流行を防ぐためには、集団の95%以上がワクチンを接種している必要がありますが、近年はこの接種率が低下しており、それが流行の一因となっています。


当院でも、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種を行っております。
ただし、現時点で麻疹患者さんとの接触歴がない方が、慌ててワクチンを追加接種する必要はありません(過去にも報道を受けてワクチン需要が急上昇した結果、生産が追い付かず子どもの定期接種分のワクチン確保が危うくなったことがあります)。
まずは落ち着いてご自身のワクチン接種歴をご確認いただき、この機会に日々の感染対策を振り返ってみましょう。
ご自身の接種歴が不明な方や、追加接種が必要か判断に迷う方は、お気軽に当院までご相談ください。


もしかして麻しんに感染した?と思ったら

もしかして麻しんに感染した?と思ったら
もし、発熱や発疹など「はしかかもしれない」と思う症状が出た場合は、いきなり医療機関を受診せず必ず事前に電話でご連絡いただくようお願いします。感染力が非常に強いため、待合室での二次感染を防ぐための措置(隔離診察など)が必要です。また、移動の際は公共交通機関の利用を可能な限り避けてください。


岡山市の「麻しん無料抗体検査」のご案内

ご自身に免疫があるかどうか不安な方のために、岡山市では麻しんの無料抗体検査を実施しています。


目的 麻しんの感染予防および感染拡大防止。
内容 血液検査によって、はしかに対する免疫(抗体)が十分にあるかどうかを無料で調べることができます。
令和8年度の実施 岡山市では令和8年度も継続して実施予定となっております。詳細が分かり次第、以下のホームぺージにて記載される予定です。ぜひ、ご確認ください




「自分は大丈夫」と過信せず、まずは母子健康手帳などでご自身の接種歴を確認してみましょう。
記録がない、または1回しか受けていないという方は、この機会に抗体検査やワクチンの追加接種を強く(ただしくれぐれも「慌てて一足飛びにワクチン接種」と進まないよう)ご検討ください。

皆さまとその大切なご家族を守るため、正しい知識に基づいた冷静な行動をお願いいたします。不安なことがあれば、岡山市北区の内科えばらクリニックまでお気軽にご相談ください。




えばらクリニック
 院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医