消化器内科専門医として診療していると、数ヶ月に1度ほどの頻度で「最近背中の奥の方が痛いんです…もしかして、すい臓がんなのでしょうか?」と、たいへん不安な調子でのご相談をお受けします。
実際のところインターネットで「背中の痛み 内臓の病気」と検索すると「すい臓がん」という言葉が出てきますし、「すい臓がん」で検索すれば怖い話がたくさん見つかります。それらについてまた検索して…と、文字通り夜も眠れないほど悩んでしまう方も珍しくありません。
しかし、私はそういったご相談に対しては、
「背中の奥に痛みがあるからといって、すぐにすい臓がんとはいえません」
とお答えしています。
今回は、なぜすい臓がんで背中が痛くなることがあるのか、そして「心配すべき痛み」と「そうでない痛み」の違いについて、専門医の視点から詳しく解説します。
実際のところインターネットで「背中の痛み 内臓の病気」と検索すると「すい臓がん」という言葉が出てきますし、「すい臓がん」で検索すれば怖い話がたくさん見つかります。それらについてまた検索して…と、文字通り夜も眠れないほど悩んでしまう方も珍しくありません。
しかし、私はそういったご相談に対しては、
「背中の奥に痛みがあるからといって、すぐにすい臓がんとはいえません」
とお答えしています。
今回は、なぜすい臓がんで背中が痛くなることがあるのか、そして「心配すべき痛み」と「そうでない痛み」の違いについて、専門医の視点から詳しく解説します。
なぜ「すい臓の病気」では背中に痛みが出るのか
そもそも、なぜ「お腹」の中にあるはずのすい臓の病気で「背中」が痛くなることがあるのでしょうか。
その理由は、すい臓の「他の臓器との位置関係」にあります。
すい臓は、胃や小腸・大腸のちょうど奥側、お腹の最も奥まったところにある長さ20cmほどの細長い臓器です。さらにその背中側には背骨があり、神経の束(腹腔神経叢)が接しています。すい臓に炎症が起きたり、腫瘍ができたりすると、位置的にその腹腔神経叢が刺激されやすく、脳はその刺激を「背中が痛い」という信号として受け取ってしまうのです(これを医学用語で「関連痛」と呼びます)。
この「お腹の奥深くに位置している」という特徴こそが、すい臓の様子を検査で調べにくく、異常を早くに見つけるのが難しい理由の一つです。
その理由は、すい臓の「他の臓器との位置関係」にあります。
すい臓は、胃や小腸・大腸のちょうど奥側、お腹の最も奥まったところにある長さ20cmほどの細長い臓器です。さらにその背中側には背骨があり、神経の束(腹腔神経叢)が接しています。すい臓に炎症が起きたり、腫瘍ができたりすると、位置的にその腹腔神経叢が刺激されやすく、脳はその刺激を「背中が痛い」という信号として受け取ってしまうのです(これを医学用語で「関連痛」と呼びます)。
この「お腹の奥深くに位置している」という特徴こそが、すい臓の様子を検査で調べにくく、異常を早くに見つけるのが難しい理由の一つです。
背中の痛みの原因は多岐にわたる
一方で「背中の奥の痛みを引き起こす原因」から考えてみると、すい臓がん以外にもたくさんの可能性が挙げられます。
整形外科的な病気
いちばん日常的で頻度が多いのが筋肉や骨に関するトラブルです。筋肉痛、姿勢の問題、肩こりでお悩みの方は大勢いらっしゃる(この文章を読んでいるそこのあなたも?)でしょうし、あるいは脊椎の病気(骨粗しょう症からの脊椎圧迫骨折など)といった整形外科的な病気は年齢とともに増えていきます。
他の消化器疾患
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう炎、さらには逆流性食道炎でも背中に痛みが出ることがあります。
すい臓の良性疾患
急性膵炎や慢性膵炎といった炎症、あるいは「膵のう胞(すいのうほう)」と呼ばれる水の袋が原因で痛みが生じることもあります。
心臓やそれに連なる大きな血管、肺の病気
「胸の痛み」をイメージされることが多いかもしれませんが、上の文章で挙げた「関連痛」として背中に痛みが出ることがあります。
このように、痛みはあくまで「体からのサイン」の一つであり、その原因のすべてが悪性腫瘍(がん)というわけではありません。
背中の痛みで「注意すべきサイン」とは何か
では、どのような場合に消化器内科をはじめ病院を (場合によっては早めに) 受診すべきなのでしょうか。
今回のコラムは「すい臓がんとの関係」についてですので、その可能性も考慮して注意すべきサインとして、背中の痛み「以外」の以下のような要素に注目していただきたいと思います(ただし、これらは「当てはまらなければすい臓がんではない」といえるものではありません)。
今回のコラムは「すい臓がんとの関係」についてですので、その可能性も考慮して注意すべきサインとして、背中の痛み「以外」の以下のような要素に注目していただきたいと思います(ただし、これらは「当てはまらなければすい臓がんではない」といえるものではありません)。
1.痛みの性質
背中のより下の方、腰のあたりを中心に「波があっても消えはしない痛み」が続いていること。「夜間に強くなる痛み」、あるいは「前かがみになると少し楽になる」といった特徴がある場合も要注意です。
2.他の症状
ダイエットをしていないのに1ヶ月で3~5%(または2〜3kg以上)体重が減るのは要注意。白目や皮膚が黄色みを帯びてくる「黄疸」も、膵がんに限った要素ではありませんが精密検査が必要です。
3.糖尿病の発症と急激な悪化
身内に糖尿病の人がいないのに突然発症したり、これまで安定していた血糖値が急に上昇した場合は、がんなどによるすい臓の機能低下を疑います。
4.生活習慣と家族歴
喫煙と飲酒(日本酒換算で3合以上)、第一度近親者(親子きょうだい)以内に1~2人ですい臓がんの方がいらっしゃる場合は、すい臓がんのリスク因子となります。
ただ背中が痛いだけでなく、これらの要素が重なった場合には、早急に消化器内科専門医へご相談ください。
がんの早期発見のために私たちができること
すい臓がんは確かに「難しい」がんの一つですが、近年、予後改善につながる早期診断を目指して様々な取り組みが進められています。岡山県で代表的なものが、「岡山早期膵癌プロジェクト(MOMOTAROプロジェクト)」という運動です。
これは、上記「注意すべきサイン」で挙げたような要素からすい臓がんのリスクが高い人を選定し、積極的に「腹部エコー検査」を行って小さな変化から拾い上げていこうというものです。ただし、すい臓は胃や腸のガスに隠れてエコーでは見えにくいことも多いため、必要に応じて「CT検査」や「MRI(MRCP)検査」、さらには胃カメラの先端に超音波装置がついた「超音波内視鏡(EUS)」などの高度な検査を組み合わせて診断していきます。
更に「血液検査」や「尿検査」でも、これまで使用されてきた「腫瘍マーカー」に続いて、すい臓がんでわずかに増加するアミノ酸やmRNA(メッセンジャーRNA、新型コロナウイルスワクチンでおなじみになりました)を検出することで、早期診断につなげられる可能性が出てきました。これらは検査が簡便なため患者さんご自身で購入・検査することもできますが、医療保険の適用外で高価なものが多いうえに結果の解釈が難しいため、事前に消化器内科専門医へ相談されることをお勧めします。
これは、上記「注意すべきサイン」で挙げたような要素からすい臓がんのリスクが高い人を選定し、積極的に「腹部エコー検査」を行って小さな変化から拾い上げていこうというものです。ただし、すい臓は胃や腸のガスに隠れてエコーでは見えにくいことも多いため、必要に応じて「CT検査」や「MRI(MRCP)検査」、さらには胃カメラの先端に超音波装置がついた「超音波内視鏡(EUS)」などの高度な検査を組み合わせて診断していきます。
更に「血液検査」や「尿検査」でも、これまで使用されてきた「腫瘍マーカー」に続いて、すい臓がんでわずかに増加するアミノ酸やmRNA(メッセンジャーRNA、新型コロナウイルスワクチンでおなじみになりました)を検出することで、早期診断につなげられる可能性が出てきました。これらは検査が簡便なため患者さんご自身で購入・検査することもできますが、医療保険の適用外で高価なものが多いうえに結果の解釈が難しいため、事前に消化器内科専門医へ相談されることをお勧めします。
結論としてお伝えしたいこと
「背中が痛い…自分はすい臓がんに違いない!」といきなり決めつけて絶望する必要はありません。多くの場合はすい臓がんよりも、生活習慣の改善や適切な薬物治療で治る病気、あるいは整形外科的なケアで対応できる事態です。
しかし、「大抵は違うって先生も書いていたし、ただの疲れだろう」と、症状が続く・変わっていくにも関わらず長い間そのままにしておくこともまた、避けていただきたいのです。もし痛みが数日以上続き、何らかの不安を感じているのであれば、それは「一度自分の体をしっかり調べてみよう」という大切なきっかけであろうと思います。
岡山市北区のえばらクリニックでは、患者様の不安を丁寧にお伺いし、適切な検査を通じて「何が原因なのか」をはっきりさせることを大切にしています。早期に受診し、もし何も異常がなければ、それはそれで大きな安心につながります。
背中の痛みでお悩みの方は、一人で抱え込まず、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
しかし、「大抵は違うって先生も書いていたし、ただの疲れだろう」と、症状が続く・変わっていくにも関わらず長い間そのままにしておくこともまた、避けていただきたいのです。もし痛みが数日以上続き、何らかの不安を感じているのであれば、それは「一度自分の体をしっかり調べてみよう」という大切なきっかけであろうと思います。
岡山市北区のえばらクリニックでは、患者様の不安を丁寧にお伺いし、適切な検査を通じて「何が原因なのか」をはっきりさせることを大切にしています。早期に受診し、もし何も異常がなければ、それはそれで大きな安心につながります。
背中の痛みでお悩みの方は、一人で抱え込まず、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
えばらクリニック
院長 江原 弘貴
院長 江原 弘貴
2003年 岡山大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医
岡山大学病院 第二内科(現 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)に所属
2011年~ 日本内科学会 総合内科専門医
2013年~ 日本消化器病学会 専門医
2016年~ 日本消化器内視鏡学会 専門医







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